2体の人型ロボットが卓球ダブルスに挑戦 「PingpongDuo」で10回超のラリーを達成
研究チームが人型ロボット協調制御フレームワーク「PingpongDuo」を発表した。2体のUnitree G1ロボットが狭い空間で交互に打球し、互いに衝突を避けながら道を譲り合って10回以上の連続ラリーを成功させた。ただし現在は外部モーションキャプチャに依存している。

これまでの人型ロボットによる卓球デモは、1体で人間やマシンとラリーを続けるものが大半でした。しかしダブルスとなると、話の難易度は跳ね上がります。
卓球のダブルスでは交互に打球するルールがあるため、自分が打った瞬間に素早く場所を空け、ペアのロボットに打球スペースを譲らなければなりません。
香港大学、上海イノベーション研究院、Archon Robotics、NVIDIAの研究チームがロボット協調制御フレームワーク「PingpongDuo」を発表しました。研究チームは2体のUnitree G1人型ロボットを卓球台の同じ側に配置し、実機テストで10回以上の連続ラリーを達成しました。
秒速2メートル超で道を譲り合う連携プレー
ダブルスで最も困難なのは、卓球台後方の限られたスペースの共有です。ボールは高速で飛び交い、一歩でも足を滑らせればロボット同士が激突します。
PingpongDuoはこの課題を階層型制御で解決しました。チーム全体を統括するプランナーが双方のロボットの目標位置を決定し、リスク推定モデルが手足や胴体の衝突リスクを常に評価します。衝突の恐れがある場合は安全フィルターが回避軌道を生成しますが、打球順のロボットを常に優先して配置を調整します。
個別の動作については、足さばきとラケット制御をそれぞれ独立したAIモデルに分離しました。フットワークは人間のダブルス映像を学習させ、約200種類のステップパターンを組み込んでいます。
実機実験では、Unitree G1が2.15メートルの退避・復帰動作をわずか2.4秒で完了し、最高速度は秒速2.23メートルに達しました。退避時の位置決め誤差は約2センチメートルにとどまり、シミュレーションでの返球成功率は従来ベースライン比で13.2%向上したといいます。
ただし課題も残されています。現在のシステムは外部のモーションキャプチャ設備に依存しており、ボールのスピン(回転)も計算に入っていません。研究チームは今後、機体搭載カメラによる認識や回転の推定、戦術的な攻防の研究を進める方針です。
なぜ重要か
この研究の本質は、ロボットの卓球の腕前ではなく、極めて高精度な「複数ロボットの物理的協調」を成立させた点にあります。
従来の人型ロボットは、1体で荷物を運んだり歩行したりする単体動作が中心でした。複数台を同じ狭い空間に入れると、衝突を恐れて動作が極端に遅くなったり、停止してしまったりするのが普通です。
卓球ダブルスというミリ秒単位で判断が迫られる極限の環境で、2体が互いのスペースを譲り合いながら高速で動き回れることを実証した意味は小さくありません。
狭い工場ラインや物流倉庫、あるいは災害現場など、将来ロボットが人間や他のロボットと同じ現場で働く際に、この協調制御アルゴリズムは強力な基盤になります。外部センサーへの依存という制約はあるものの、自律協調の第一歩として非常にスマートな一歩だといえます。
情報源 (2)
- interestingengineering.com(新しいタブで開きます)原文interestingengineering.com
- youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com