OpenAI「o3」、1問解くコストが約3万ドルに? ARC Prizeが試算を上方修正
米TechCrunchなどの報道によると、Arc Prize FoundationがOpenAIの未提供モデル「o3」の実行コスト試算を上方修正した。最高性能のo3 highがARC-AGIの難問を1つ解く費用は、当初の3000ドルから約3万ドルに跳ね上がる見込みだ。最高スコア達成に1024回の試行が必要だったことが影響している。

最先端AIの「考える力」には、想像を超える維持費がかかるようです。
OpenAIが昨年12月に発表した推論特化型モデル「o3」は、高難度の知能ベンチマークであるARC-AGIで驚異的なスコアを記録しました。当時、テストを主催する団体は、最高性能構成である「o3 high」が課題を1問解くのに約3000ドルの計算コストがかかると見積もっていました。
しかし先週、ARC-AGIを運営するArc Prize Foundationがこの試算を大幅に修正しました。現在では、1問あたりのコストが当初の10倍にあたる約3万ドルに達する可能性があると発表されています。
1問に1024回の試行錯誤を費やす力技
OpenAIはo3をまだ一般公開しておらず、公式価格も発表していません。今回の莫大な金額は、現在提供されているOpenAIの最上位モデル「o1-pro」の価格を代用基準として算出したものです。
Arc Prize Foundationの共同創設者であるMike Knoop氏は、o3が消費する「テスト時計算量(推論時の計算リソース)」の大きさを考えると、o1-proをベースに計算するのが現実に近いと説明しています。ただし正式発表までは不確定要素があるため、リーダーボード上ではプレビュー扱いを維持しているとのことです。
実際、消費されるリソースは突出しています。ARC-AGIのタスクを解く際、o3 highは低リソース設定であるo3 lowの実に172倍もの計算量を使用しました。
さらにAI研究者のToby Ord氏がXで指摘したところによると、o3 highはその高い正答率を出すために、タスク1問あたり最大1024回もの試行を重ねていました。賢く一発で解いているというよりは、膨大な試行錯誤を力技でこなしているのが実態です。
3月上旬にはThe Informationが、OpenAIがソフトウェア開発などの専門エージェントに対して月額最大2万ドルの利用料を検討していると報じており、推論AIの高コスト化は現実味を帯びています。
なぜ重要か
私たちは、今回のコスト修正が「推論特化型モデル」の商業的な限界を浮き彫りにしたと考えています。
ユーザーや企業にとって、1つの論理タスクに数万ドルかかるモデルは、日常的な業務への導入候補にすらなりません。人件費と比較する声もありますが、人間なら1024回もゼロからやり直さずに解く課題に対して、計算リソースを垂れ流すシステムを実運用で使い続けるのは現実的ではないからです。
業界全体にとっても、推論時に計算量を増やすスケーリング手法が早くもコストの壁に突き当たったことを意味します。低スペック版の172倍の計算力を投じても、得られる精度の向上には限界が見え始めています。
OpenAIがフロンティア性能を証明したこと自体は見事ですが、力技の探索に依存するアプローチには明らかな課題があります。これからの競争の焦点は、単にベンチマークで高得点を取ることではなく、実用的なコストの範囲内で効率的な推論を実現できるかにシフトしていくと見られます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
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