OpenAI、GPT-5.6搭載の「ChatGPT Work」公開:複雑な長時間業務を自律実行
OpenAIは最新モデル「GPT-5.6」を採用した業務特化型エージェント「ChatGPT Work」を発表した。SlackやGoogle Workspaceなどと連携し、複数ステップにわたる数時間のプロジェクトを自律的に進行してスライドや文書を作成できる。ProやEnterprise向けに提供が始まっている。

オフィスでAIを使うといえば、Slackのチャット履歴をコピーしてモデルに貼り付け、要約文を作らせてからスライドに手作業で戻すという作業が日常茶飯事でした。OpenAIはそのような面倒な往復作業を丸ごと引き受ける仕組みを整えました。
OpenAIは、最新のフロンティアモデル「GPT-5.6」を搭載した自律型エージェント「ChatGPT Work」を公開しました。The Vergeの報道によると、GPT-5.6は約2週間にわたり政府承認機関のみへの限定プレビューという規制上の制約を受けていましたが、トランプ政権の承認を得て一般公開に漕ぎ着けました。OpenAIのサム・アルトマンCEOは「我々がこれまでに生み出した中で最高のモデル」と自信を示しています。
プログラミング用Codexを全社員のデスクへ
ChatGPT Workの中核にあるのは、これまで開発者向けに提供されてきたCodexの技術です。Codexはすでに毎週500万人以上が利用しており、そのうち100万人以上が非開発用途で使用している実績がありました。今回、単体のCodexアプリは新しいChatGPTデスクトップアプリへと統合されました。
裏で動くGPT-5.6ファミリーには、Sol、Terra、Lunaの3モデルが用意されています。最上位のSolはコーディングや科学的思考だけでなく、PC操作やマルチステップの推論を得意とし、競合の高価格化に対抗する低コストな選択肢としてもアピールされています。さらに、実験的だったAtlasブラウザの単体提供を終了し、デスクトップアプリ内の内蔵ブラウザやChromeサイドバーへと統合を進めています。
最大の特徴は、数時間にわたってプロジェクトを自律的に進められる点です。予算分析や営業用資料の作成を任せると、タスクを自ら分解し、Slack、Microsoft Teams、Google Drive、Gmail、各種CRMとプラグイン経由で連携しながら完成品を作り上げます。OpenAI社内ではほぼ全チームが実務に投入しており、営業の概念実証資料の作成が数週間から24時間以内に短縮され、経理の月次予測も数日から数時間へ激減したと説明されています。
また、定期的にバックグラウンドで作業を行う「Scheduled Tasks」や、作業成果を共有可能なWebアプリに変換する「Sites」のパブリックベータも組み込まれました。デスクトップ版ではMacおよびWindows向けに無料プランを含む全ユーザーへ即日提供が開始されており、Web版とモバイル版はPro、Enterprise、Eduから順次PlusやBusinessへ展開されます。
なぜ重要か
ChatGPT Workの登場は、生成AIが「壁打ち相手」から「成果物を直接納品する作業員」へと決定的にシフトしたことを意味していると考えられます。
デスクワーカーにとっての価値は、アプリ間を往復してデータを整形する不毛な作業から解放される点にあります。特に複数のクラウドツールを日常的にまたいで仕事をしている人なら、デスクトップ版を導入して定常タスクを任せてみる価値は十分にあります。
業界全体で見れば、Anthropicが展開するClaude Coworkへの明確な対抗策であり、オープンソースで話題となったOpenClawへの牽制でもあります。これまで開発者向けに磨き上げてきたCodexとComputer Useの仕組みを、ビジネス文書作成へそのまま転用した点は非常にスマートな戦略です。
ただし、懸念がないわけではありません。PCの操作権限や組織内の通信ログへのアクセスをAIに委ねたまま数時間放置する運用は、誤動作や情報漏洩のリスクを常に孕んでいます。いくら監査APIや事前レビューの仕組みを整えたとしても、企業が安心して自律エージェントに業務を丸投げできるようになるまでには、まだ現場での検証が必要になりそうです。
情報源 (2)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com