OpenAIが「ChatGPT Enterprise」公開、企業データを学習せず高速処理
OpenAIは法人向け「ChatGPT Enterprise」を発表した。プロンプトや企業データをモデル学習に使わず、利用上限のない高速処理と32kコンテキストを提供する。SOC 2準拠やSSO管理を備え、企業の本格導入に向けた懸念を払拭する。

フォーチュン500企業の8割以上で、現場の社員が業務にChatGPTを使い始めている一方、情シスや法務部門はずっと情報漏えいのリスクに頭を抱えてきました。
OpenAIはその不安を正面から解消すべく、ChatGPT Enterpriseの提供を開始しました。企業向けのセキュリティ基準を満たし、同社史上もっとも高性能な仕様をパッケージにした新プランです。
初期の導入企業には、BlockやCanva、PwC、エスティローダー、Zapierといった名だたる企業が名を連ねています。
企業データは学習に使わない、セキュリティを前面に
最大のポイントは、入力したプロンプトや企業データをOpenAIのモデル学習に一切使用しないと明言した点です。
セキュリティ規格としてはSOC 2に準拠し、データは保存時にAES 256、転送時にはTLS 1.2以上で暗号化されます。
企業管理者は専用の管理コンソールを通じて、メンバーの一括管理やシングルサインオン(SSO)の設定、ドメイン認証、社内での利用状況ダッシュボードの確認が可能です。
利用制限の面でも大幅な緩和が行われ、GPT-4へのアクセス上限が撤廃されたほか、処理速度は従来の最大2倍に向上しています。
2倍速のGPT-4と32kコンテキストで作業効率化
処理できる情報量も大幅に広がりました。32kトークンのコンテキストウィンドウに対応し、従来の4倍の長さのテキストやファイルを一度に投入できます。
以前はCode Interpreterと呼ばれていた高度データ分析機能(Advanced Data Analysis)も、利用制限なしで解放されます。財務データの分析や市場調査の集計、データサイエンティストのスクリプト検証などがチャット上で即座に行えます。
社内コラボレーション向けには、プロンプトやワークフローを共有できるチャットテンプレート機能が用意されました。自社システムとの連携を進めたい企業向けに、API利用クレジットも含まれています。
先行導入したKlarnaは、1億5000万人のユーザー向けサービス向上に従業員全体で活用しているとコメントしており、日々の調査時間を1人あたり平均1時間削減できたという企業の声も紹介されています。
また、OpenAIは中小規模チーム向けのセルフサーブプランであるChatGPT Businessや、社内アプリとのデータ連携機能も今後順次提供していく予定です。
なぜ重要か
私たちは、このEnterprise版の登場によって企業の生成AI導入における最大の心理的・法的な壁が取り払われたとみています。データがモデルの再学習に使われない保証とSOC 2準拠は、大企業のセキュリティ審査を通すための必須条件だからです。
現場のビジネスパーソンにとっては、利用制限や速度低下に悩まされることなく、長大な契約書や大容量データを扱える点が大きな実利になります。特に高度データ分析が無制限で使える環境は、データ加工やレポート作成の現場を劇的に変えるはずです。
業界全体で見れば、提携関係にあるMicrosoftのCopilot構想と正面から顧客を取り合う構図が生まれます。APIの提供元にとどまらず、企業向けSaaSの直接的な販売元として名乗りを上げたOpenAIの動きは、今後のエンタープライズAI市場の勢力図に大きな影響を与えると考えられます。
情報源 (1)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com
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