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業界動向

OpenAIが中国からのAPI接続を遮断、現地AI勢が無料移行で争奪戦へ

公開 拡散指数 44

OpenAIはから、サポート対象外地域からのAPIトラフィック遮断を開始した。これを受け、商湯科技や百度、智譜AIなど中国の主要AI企業は、最大1億5000万トークンの無料配布や無料移行サポートを打ち出し、利用者の囲い込みを加速させている。

OpenAIが中国からのAPI接続を遮断、現地AI勢が無料移行で争奪戦へ
画像:theguardian.com

これまで中国のAI開発者の多くは、VPNを経由してOpenAIのAPIを叩き、モデルの微調整やアプリ開発、ベンチマークテストを行ってきました。

しかし7月9日、その抜け道は完全に塞がれました。OpenAIは利用をサポートしていない国や地域からのAPIトラフィック遮断に踏み切りました。今回は中国の検閲システムではなく、米国側からの遮断です。

国内AI大手が繰り広げる顧客争奪戦

締め出しの警告を受け、中国のAI企業各社は一斉に開発者の囲い込みへと動き出しました。

上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)で、SenseTime(商湯科技)は最新モデル「SenseNova 5.5」を発表しました。ぬいぐるみやイラストの認識、文書要約などを披露し、GPT-4oに匹敵するとアピールしています。さらに5000万トークンを無償提供し、専任スタッフによる移行支援まで打ち出しました。

他社も黙っていません。Baidu(百度)は「Ernie 3.5」向けに5000万トークンと無料移行を提供し、さらに「Ernie 4.0 Turbo」を投入。Zhipu AI(智譜AI)は1億5000万トークン、Tencent Cloud(騰訊雲)も7月末まで1億トークンを新規ユーザーに配布しています。

上海のCentre for Safe AGI創設者であるXiaohu Zhu氏は、この決定がコミュニティに大きな懸念を呼んだ一方で、国内企業にとって絶好のシェア拡大の機会になったと指摘します。中国にはすでに世界の40%に相当する130以上の大規模言語モデルが存在し、激しい価格競争がさらに加速しています。

迫られる自立とハードウェアの壁

しかし、移行がすべて順調に進むわけではありません。

ニューヨーク大学のWinston Ma教授は、中国企業はこれまでモデルそのものの根本的な革新よりも商業化に傾倒してきたと指摘します。OpenAIの撤退は短期的な打撃ですが、国産モデルの実力が本番環境で試される契機になるとも述べています。

最大の問題は計算資源です。The Informationの報道によると、動画配信大手のKuaishou(快手)は半導体不足による計算能力不足のため、話題の動画生成AI「Kling(可霊)」の利用制限を余儀なくされました。米国の制裁による半導体不足が続く中、ソフトウェアの遮断が国内の自立をどこまで後押しできるかは不透明です。

なぜ重要か

これまでOpenAIの技術を前提にプロダクトを組んでいた開発者にとって、国産モデルへの移行は避けられない現実となりました。各社が競うように無料トークンを配っているため目先のコストは抑えられますが、プロンプトの再現性や精度の面で同等の品質を維持できるかは、実務での検証が必要です。

業界全体で見れば、米中AIエコシステムの分断が決定的な段階に入ったことを示しています。外部の先進モデルに頼れなくなったことで、中国国内のモデル開発と自前インフラへの投資は一段と加速するはずです。

しかし、現在の極端なトークン無料化や価格破壊には危うさもあります。最先端のAIチップ調達が厳しく制限される中で安売り競争を続ければ、企業の収益性を圧迫し、基礎研究への投資体力を奪いかねないという点は見逃せません。

情報源 (2)

  1. [1]
    theguardian.com(新しいタブで開きます)原文theguardian.com
  2. [2]
    techtimes.com(新しいタブで開きます)報道techtimes.com

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