NVIDIA、世界基盤モデル「Cosmos」発表 実走行データを数十億マイルの仮想走行に拡大
NVIDIA は CES にて自動運転やロボット向けの生成世界基盤モデルプラットフォーム「Cosmos」を発表した。自動運転開発システムに統合され、数千マイルの実走行データから数十億マイル分の合成データを生成して学習を効率化する。現在 Hugging Face 等でオープンライセンス公開されている。

NVIDIA Cosmos は、自動運転やロボット工学向けに設計されたオープンな世界基盤モデル(WFM)プラットフォームだ。生成モデル、専用トークナイザー、高速ビデオ処理パイプラインを統合し、実車が走行した数千マイルのデータを、仮想空間上の数十億マイルに及ぶ合成走行データへと増幅できる。
NVIDIA の自動運転向け「3 コンピュータ」ソリューションにおいて、Cosmos はデータフライホイールの中核を担う。シミュレーション環境の Omniverse と組み合わせることで、実走収集が困難なエッジケースや異常気象などのシナリオを自在に生成し、開発コストを大幅に引き下げられる。すでに Waabi や Wayve が過酷シナリオの検証に採用し、Uber も実走行データの連携を発表している。
アーキテクチャと動作環境
Cosmos 3 は、統合された Mixture-of-Transformers アーキテクチャを採用しており、機能が 2 つのタワーに分かれている。Reasoner はテキストと画像から物理現象の理解や計画立案を行い、Generator はテキスト、画像、音声、行動を入力として、マルチビュー映像や制御ポリシーを出力する。
ハードウェア要件に応じて 3 つのサイズが提供されている。
最大サイズの Cosmos3-Super(64B)は、H200 や B200 などデータセンター級 GPU を対象としており、最高精度の合成データ生成や蒸留の教師モデルとして機能する。
中間サイズの Cosmos3-Nano(16B)は、RTX Pro 6000 や単一の H100 で動作し、速度と精度のバランスが取れているため、追加学習やシミュレーション用途の標準基盤となる。
最小サイズの Cosmos3-Edge(4B)は、Jetson AGX Orin や Drive Thor といった車載・エッジ向けプロセッサでリアルタイム推論できるよう設計されている。
動かし方と利用手順
モデル重みはオープンライセンスとして Hugging Face および NVIDIA NGC に公開されており、コードは GitHub リポジトリ(NVIDIA/Cosmos)で入手可能だ。将来的には NVIDIA NIM マイクロサービスとしての提供も予定されている。
ローカルで実行するには、事前の認証手続きが必要だ。diffusers を用いたスクリプトを実行する前に、Hugging Face 上で「Cosmos-1.0-Guardrail」リポジトリへのアクセスを申請・承諾し、認証トークンを設定しておく必要がある。
公式リポジトリには Cosmos Cookbook が用意されており、データキュレーションから vLLM を用いた API サービングまで手順がまとまっている。標準の Nano モデルでも 16B のチェックポイントをダウンロードするため、十分な VRAM と相応の生成時間を確保する必要がある。
なぜ重要か
自動運転やロボティクスの開発チームにとって、物理現象の理解から映像生成までを一貫してカバーするフルサイズの世界モデルがオープンで提供される意義は極めて大きい。これまで巨額の投資が必要だったシミュレーション環境を、自社インフラに直接組み込めるようになった。
一方で、個人の開発者が気軽に試すにはハードルが残る。Nano モデルであってもプロ向けワークステーション級の GPU が求められ、安全ガードレールの審査もある。ホビー用途ではなく、本格的な産業向けフィジカル AI を開発するチームが検証すべき骨太なツールといえる。
情報源 (2)
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文blogs.nvidia.com
- github.com(新しいタブで開きます)報道github.com
トピックを追うNVIDIAの人形ロボット開発プラットフォーム
- Boston Dynamics、新型AtlasにNVIDIAのIsaac GR00TとJetson Thorを採用
- NVIDIA、産業ロボット群のデジタルツインを構築する「Mega」を発表
- NVIDIA、自動運転・ロボット向け「Omniverse Sensor RTX」の早期アクセスを開始
- NVIDIA、世界基盤モデル「Cosmos」発表 実走行データを数十億マイルの仮想走行に拡大この記事
- NVIDIA、人型ロボ開発向け「Isaac GR00T Blueprint」を発表