NVIDIAが解説する「AI Foundry」:TSMCの受託製造のように企業専用モデルを構築
NVIDIAは企業向けサービス「AI Foundry」の仕組みを解説した。DGX CloudとNeMoプラットフォームを活用し、Llama 3.1などのオープンモデルを企業データに合わせて微調整し、NIMマイクロサービスとして展開できる。独自AIモデルの開発ハードルを大きく下げる狙いだ。

TSMCが世界中の半導体を製造するように、NVIDIAは企業のAIモデルをまるごと受託製造しようとしています。
NVIDIAは企業向けサービス「NVIDIA AI Foundry」の詳細を明かしました。企業が自社の保有データを持ち込めば、NVIDIAの計算基盤とソフトウェア、専門家の支援を組み合わせて、独自の生成AIモデルを作り上げることができるサービスです。
独自モデルを鍛え上げる基盤
汎用的なAIモデルは便利ですが、業界独自の専門用語や社内ルールまでは理解できません。AI Foundryは、そうした企業ごとの課題を解決するためのカスタムモデル開発を支援します。
対象となる基底モデルには、MetaのLlama 3.1をはじめ、GoogleのGemma、Mistral、MicrosoftのPhi-3、NVIDIA独自のNemotronなどが揃っています。
計算資源には、AWS、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructureと共同構築した「DGX Cloud」を利用します。これにより、企業は高価なサーバーを購入することなく、クラウド上で柔軟にモデルのファインチューニングを進められます。
開発を支えるのがNVIDIA NeMoソフトウェアです。データ整形を行うNeMo Curator、チューニングを担うNeMo Customizer、自動評価用のNeMo Evaluator、安全ガードレールを設定するNeMo Guardrailsなどが一連の工程をカバーします。
完成したモデルは「NIM」という推論マイクロサービスとして出力され、TensorRT-LLMによって最適化された状態で、主要クラウドや各社認定サーバー上ですぐに本番稼働させることができます。すでにSAP、ServiceNow、Snowflake、現代自動車などが採用を決めています。
なぜ重要か
NVIDIAは単なるGPUメーカーから、企業のAI開発基盤を一手に握るプラットフォーマーへと着実に進化しています。
自社データを活かしてAIの競争力を高めたい企業にとって、インフラ構築からチューニング、本番環境へのデプロイまでをワンストップで支援してくれる仕組みは魅力的です。高度なAI研究者を大量に抱えていない企業でも、自社専用モデルを実用化できる現実的な選択肢になります。
ただし、計算基盤のDGX CloudからNeMo、NIMに至るまで、開発と運用のライフサイクル全体がNVIDIAの技術群に強く依存することになります。このベンダーロックインのリスクは無視できません。
競合するクラウドアライアンスやMLOpsを手掛けるスタートアップにとっては、ハードウェアの覇者がソフトウェア領域まで垂直統合で固めてきたことで、顧客獲得のハードルがさらに高まったと言えます。
情報源 (1)
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文blogs.nvidia.com