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研究

Google DeepMind、次世代「AlphaFold」公開 DNAや創薬リガンドも予測可能に

公開 拡散指数 36

Google DeepMindとIsomorphic Labsは次世代AlphaFoldの進捗を発表した。タンパク質にとどまらず、DNAやRNA、低分子リガンドの構造を原子レベルの精度で予測できる。従来のドッキング手法を上回り、新薬設計の加速が期待される。

画像:deepmind.google

タンパク質単体の立体構造を予測するだけでも画期的でしたが、人体の病気や生命現象は、単一のタンパク質が孤立して起こすものではありません。薬の低分子や核酸がどのように結合するかを見極めない限り、創薬の現場では使えませんでした。

Google DeepMind と創薬子会社の Isomorphic Labs は、次世代 AlphaFold の開発進捗を発表しました。最新モデルは対象をタンパク質単体から大きく広げ、低分子リガンド、DNA や RNA などの核酸、さらには翻訳後修飾(PTM)を含む複合体までカバーしています。

DeepMind によると、新モデルは Protein Data Bank(PDB)に登録されているほぼすべての分子種に対して予測を生成でき、原子レベルの精度に達することも珍しくないとしています。

結合ポケットの指定すら不要にする全原子モデリング

製薬業界ではこれまで、タンパク質とリガンドの結合を予測する際にドッキング計算と呼ばれる手法を使ってきました。しかしドッキング計算には、あらかじめ固まった参照構造を用意し、リガンドが入り込む結合ポケットの位置を指定しなければならないという制約がありました。

今回の新モデルは、そうした参照構造やポケットの位置情報を一切必要としません。それにもかかわらず既存の主要なドッキング手法を上回る精度を記録しており、これまで構造がまったく知られていなかった未知のタンパク質に対しても結合予測が可能になります。

さらに、すべての原子の位置を同時にモデリングできるため、タンパク質や核酸が他の分子と結合する際に起こす柔軟な形状変化を忠実に再現できます。公表された検証事例では、抗がん剤標的である KRAS の複合体や PORCN、さらにゲノム編集に関わる CasLambda と核酸の複合体において、実験値とほぼ重なる精度を示しました。

なぜ重要か

研究者や創薬現場にとって、この進化は作業の進め方を根底から変える可能性があります。すでに世界 190 カ国以上で 140 万人が AlphaFold を利用していますが、これまでは立体構造を得た後に別のツールで低分子を当てる二度手間が発生していました。複合体を一発で原子精度予測できるようになれば、バーチャルスクリーニングにかかる時間とコストは激減します。

業界全体で見れば、AI 創薬がタンパク質の形状確認という基礎研究段階から、実際の候補化合物を設計する実用フェーズへ足を踏み入れたことを意味します。Isomorphic Labs を通じた商用パイプラインの強化は、従来の計算化学ソフトウェアを扱うベンダーにとって大きな脅威になるはずです。

今回の取り組みは、単なるベンチマーク競争から脱却し、実際の創薬で最も障壁となっていた多分子相互作用に踏み込んだ賢い一手だと評価できます。ただし、計算上で分子が綺麗に結合したからといって、そのまま人体で薬として機能するとは限りません。体内での代謝や毒性、薬物動態といったハードルをどう乗り越えるかについては、今後も実験室での地道な検証が不可欠です。

情報源 (1)

  1. [1]
    deepmind.google(新しいタブで開きます)原文deepmind.google

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