本文へスキップ
IFAI

業界動向

マイクロソフトのナデラCEO、G7で演説:新興国向けAIインフラに50億ドル投資

公開 拡散指数 32

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOがG7サミットで講演した。過去3か月間でインドネシア、マレーシア、タイ、ケニアに計50億ドルをクラウドとAIインフラ向けに投じたことを明かし、G42と連携して地域主権に配慮したデータ圏の構築や持続可能なインフラ整備を進める方針を強調した。

米IT大手が数十億ドル規模のデータセンター投資をアピールする相手は、通常はウォール街です。しかし今回、サティア・ナデラ氏はG7サミットの舞台を選びました。

イタリアのファザーノで開催された2024年G7サミットで、マイクロソフトの会長兼CEOであるナデラ氏は、バイデン米大統領やメローニ伊首相ら首脳陣と会談しました。同氏が明かした数字によれば、同社は過去3カ月間だけで、インドネシア、マレーシア、タイ、そしてケニアのクラウドおよびAIインフラに50億ドルを投じたといいます。

東南アジアとアフリカに50億ドル

今回の発言は、G7主導の「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」の枠組みに合わせたものです。

マイクロソフトは新興国向けの投資を急速に拡大しています。アフリカのケニアでは、アラブ首長国連邦のAI企業G42と手を組みました。

ナデラ氏は現地ですでに成果が出始めていると説明しました。インドネシアの農家が収穫量を増やしたり、ケニアの露店商が初めて融資枠を得られるようになったりしているといいます。

同社はサーバーを設置するだけでなく、現地のAIスキル習得支援やサイバーセキュリティ対策、新興スタートアップの育成もセットで進めています。

グリーン建材と国境を越える特区

データセンターの増設には電力問題がつきまといます。新興国ではなおさらです。

ナデラ氏は脱炭素エネルギーへの投資に加え、データセンター建設用に低炭素な鉄鋼やコンクリートの開発を進めていると述べました。半導体そのものの省電力化にも注力しています。

もうひとつの大きな障壁が、各国のデータ主権です。周辺の小国がそれぞれ独自に巨大データセンターを維持するのは現実的ではありません。

そこでマイクロソフトはケニア政府やG42と組み、東アフリカ共同体向けの「信頼できるデータゾーン」を作りました。近隣国の政府や企業がケニアの施設にデータを置きつつ、自国の法規制やプライバシー保護を適用できる仕組みです。

なぜ重要か

マイクロソフトの立ち回りは非常に巧みです。自社の海外データセンター拡張を、G7諸国が推進する途上国支援の枠組みにうまく合流させ、外交的なお墨付きを得ています。

現地の中小企業や開発者にとっては、最新の計算リソースにアクセスできる大きなチャンスです。インドネシアの農業やケニアの露天商の例が示すように、自前で基盤モデルを開発せずとも、インフラさえあれば現場の課題を直接AIで解決できます。

業界全体から見ても、欧米では電力不足や用地取得の遅れが深刻化しています。中東マネーを握るG42と組み、東南アジアやアフリカを押さえにかかる動きは、他社の一歩先を行っています。

ただし、懸念材料がないわけではありません。複数国でインフラを共有するデータ特区の仕組みは、現地の政治情勢の安定が前提です。政情不安やデータ主権をめぐる法改正が起きれば、巨額の設備投資が身動きをとれなくなるリスクも孕んでいます。

情報源 (1)

  1. [1]
    blogs.microsoft.com(新しいタブで開きます)原文blogs.microsoft.com

トピックを追うマイクロソフトのAIスーパーコンピューティング基盤構築

このトピックのニュース。新しい順です。

  1. マイクロソフトのナデラCEO、G7で演説:新興国向けAIインフラに50億ドル投資この記事
  2. OpenAIがオラクルのクラウドを採用、ChatGPTの推論基盤を拡充へ
  3. マイクロソフト、元Meta幹部を招聘してAIスパコンチームを強化
  4. マイクロソフトとOpenAI、1000億ドルのAIスパコン「Stargate」を計画か

毎日のAIピックアップ