イーロン・マスク、OpenAIの旧オフィスでxAI採用パーティーを開催
報道によると、イーロン・マスク氏はOpenAIのかつての本社でxAIのエンジニア採用パーティーを開催した。同日に開催されたOpenAIのイベントに対抗する形で、マスク氏は数年以内のAGI実現やモデル公開9カ月後のオープンソース化を掲げ、競合からの人材引き抜きを図っている。

同じ日のサンフランシスコで、AI業界を象徴する生々しい鍔迫り合いが起きました。
昼間、サム・アルトマン氏がOpenAIの開発者会議「DevDay」で大観衆を前にプレゼンを行った数時間後、イーロン・マスク氏はかつてOpenAIが創業期に拠点としていたミッション地区の旧オフィスで人材採用パーティーを開きました。金属探知機や警備員が配置された厳重な会場には、昼間のDevDayで配布されたOpenAIのリュックサックを背負ったままピザを片手に参加するエンジニアの姿も見られました。
夜8時半頃、AI生成の生演奏が止まると、マスク氏はボディガードに囲まれながら区切られたエリアのテーブルの上に立ち、集まった若手エンジニアたちに向かってxAIへの合流を熱烈に呼びかけました。
テーブルの上から説いた「音速の開発速度」
関係者によると、このイベントはマスク氏が先週水曜日に思い立ち、当時は家具すらなかったオフィスを急遽用意して開催されたといいます。主な狙いは、xAIのAPI開発を担うエンジニアの確保でした。
マスク氏は約1時間半にわたり参加者からの質問に答えました。汎用人工知能(AGI)はあと数年で実現すると語ったほか、今後5年間の主要プレイヤーはOpenAI、Anthropic、Google、そしてxAIの4社に絞られると予測しました。さらに、ロケット分野におけるSpaceXのような圧倒的シェアをxAIでも目指すと宣言しています。
同社の開発速度を、冷戦時代の超音速偵察機「SR-71 ブラックバード」に例え、同機が一度も撃墜されなかったのは加速し続ける戦略しかなかったからだと語りました。また、xAIのモデルはリリースから約9カ月後にオープンソース化する方針も示しました。しかし夜10時、消防当局から定員超過などを理由にイベントの中止を命じられ、マスク氏は裏口から足早に退場しました。
外部技術のつぎはぎと圧倒的な計算資源
マスク氏はOpenAIを「閉鎖的で最大限の利益を追求するAI」と批判し、xAIは「最大限に真実を追求するAI」を目指すと主張しています。しかし、その実態はスピードを優先した外部技術のつぎはぎという側面を抱えています。
関係者によれば、初期のチャットボット「Grok」は検索にマイクロソフトのBingを使い、プロンプトの書き換えにはMetaのオープンソースモデル「Llama」に頼っていました。物議を醸した画像生成機能もBlack Forest Labsの外部技術を採用しており、安全対策のガードレールが緩いまま著名人の過激な画像を生成できる状態になっていました。マスク氏自身も自前の生成エンジンを開発中だとしつつ、迅速に展開するための提携だったと認めています。
現在xAIは、OpenAIやMetaに対抗する音声対話機能や、X上のトレンドやニュースを要約する検索機能の開発を進めています。インフラ面では「Colossus」と呼ばれるデータセンターに、先週時点で10万基の高度なNvidia製チップを稼働させたと報じられています。これに対し、OpenAIも1570億ドルの評価額で66億ドルの巨額調達をまとめ、投資家に対してxAIなどの競合へ出資しないよう求めたと伝えられています。
なぜ重要か
ライバルの創業拠点に乗り込んで引き抜きを行うという演出は、派手な話題作りに見えますが、AI研究者の獲得競争がいかに限界に達しているかを物語っています。
エンジニア視点で見れば、OpenAIやGoogleが企業の安全基準や慎重な手続きに縛られつつあるのに対し、xAIは少人数で圧倒的なスピード感を持ち、過激なリスクを取れる環境を提供しています。企業の過剰なコンプライアンスを嫌い、最速で成果を出したい技術者には魅力的な選択肢です。ただし、他社技術への依存や超ハードワークの文化、マスク氏個人の意向に左右されるリスクは覚悟する必要があります。
業界全体としては、モデル公開から9カ月後にオープンソース化するという方針が巧妙です。初期の独占期間で収益を上げつつ、後から公開することでコミュニティの支持を集め、閉鎖性を強めるOpenAIとの違いを際立たせることができます。xAIの現状は巨額の計算資源と外部パーツを組み合わせた力技に見えますが、この容赦ない推進力は先行する巨人たちにとっても無視できない圧力になりつつあります。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
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