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業界動向

モデルナが全社にChatGPT Enterpriseを導入、2カ月で750個のカスタムGPTを構築

公開 拡散指数 38

Modernaは全社規模でChatGPT Enterpriseを導入したと発表した。展開からわずか2カ月で、臨床試験の最適投与量を分析する「Dose ID」など750個のカスタムGPTが現場で作成された。同社はAIを活用することで、数千人規模の組織のまま今後5年間で最大15種類の新薬実用化を目指す。

モデルナが全社にChatGPT Enterpriseを導入、2カ月で750個のカスタムGPTを構築
画像:openai.com

従来の製薬企業が数十もの新薬パイプラインを同時に進めようとすれば、10万人規模の組織が必要になるのが常識でした。

しかし、mRNA技術で知られるModernaは、わずか数千人の組織でそれを成し遂げようとしています。4月24日、ModernaとOpenAIはパートナーシップを拡大し、全社の数千人の従業員に向けてChatGPT Enterpriseを全面導入したと発表しました。創薬研究から法務に至るまで、あらゆる業務プロセスの再設計を進めています。

CopilotではなくChatGPT Enterpriseを選んだ理由

Modernaは生成AIの活用において先んじていました。2023年初頭にはOpenAIのAPIを活用した独自チャットボット「mChat」を開発し、すでに社内の80%以上の従業員が日常業務で利用していました。

その後、公式のエンタープライズ版が登場した際、同社は自社製mChatの改良を続けるか、外部ツールに移行するかの検証を行いました。自社のAIチームがmChat、Microsoft Copilot、ChatGPT Enterpriseを徹底的に比較テストした結果、ChatGPT Enterpriseの推奨度スコアが圧倒的に高く、社内での支持を集めたことで全面採用が決まりました。

全社展開のスピードも異例です。導入からわずか2か月で、社内には750個もの独自GPTが構築されました。週間アクティブユーザーの40%が自らGPTを作成し、従業員1人あたりの平均対話数は週120回に達しています。6か月以内にデジタルツールを使う全従業員のAI習熟度を100%にする目標を掲げ、プロンプトコンテストで選定した100人の推進リーダーや、毎週2,000人が参加する社内AIフォーラムを通じて現場主導の定着を進めました。

治験データの検証から難解な専門用語の翻訳まで

現場で生まれたGPTは、単純な文章作成にとどまらない領域で使われています。

代表例が臨床開発チーム向けに開発されたパイロットツール「Dose ID」です。ChatGPT Enterpriseの高度なデータ分析機能を活用し、膨大な臨床データを処理して視覚化します。標準的な投与量選択基準に照らし合わせて最適なワクチン投与量を検証し、その根拠と参照元を提示することで、研究チームが多角的に検討できるように支援します。最終的な判断は人間の研究者が担いますが、検証作業の大幅な効率化を実現しています。

また、法務部門では利用率が100%に達しており、複雑な契約書の要点を整理する「Contract Companion」や社内規定を即座に検索できる「Policy Bot」が稼働しています。広報部門でも、決算説明会のスライド作成や、専門的なバイオ用語を投資家や一般向けにわかりやすく翻訳する用途で日常的に活用されています。

Modernaは今後5年間で、RSVワクチンや個別化がん治療薬など最大15種類の新製品の市場投入を目指しています。ステファン・バンセルCEOは、従来の製薬業界のやり方なら10万人必要な規模の事業を、AIとテクノロジーを駆使することで数千人の組織のまま成し遂げられると語っています。

なぜ重要か

多くの企業で生成AIの導入が「とりあえず配っただけ」で形骸化するなか、Modernaの取り組みはエンタープライズ活用の完成形に近いモデルケースです。

成功の要因は、経営陣が利用方法を指定するのではなく、現場の従業員にカスタムGPTの作成権限を渡し、業務に直結するツールをボトムアップで作らせた点にあります。自社製ボットやCopilotとの比較検証を経て従業員自身に選ばせたプロセスも含め、非常に理にかなったアプローチだと考えられます。

一方で、慎重に見極めるべきリスクも存在します。Dose IDが関わる臨床データの分析や投与量の選定は、わずかな誤差が人命に関わる極めてセンシティブな領域です。人間が最終判断を下す設計になっているとはいえ、AIの出力精度に対する過信や現場の確認不足が生じるリスクは常に残ります。

製薬業界全体にとっても、この動きは大きな転換点になります。巨額の資金と膨大な人員を投じて長い年月をかける従来の創薬モデルに対し、少数の精鋭部隊がAIエージェントを駆使して高速にパイプラインを回す新しい開発モデルが成立するかどうか、Modernaの5年15製品という目標はその試金石になりそうです。

情報源 (1)

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    openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com

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