マイクロソフトがオープンなA2Aプロトコル対応を発表:エージェント間の相互接続を推進
MicrosoftはAzure AI FoundryとCopilot StudioでオープンなAgent2Agent(A2A)規格をサポートすると発表しました。異なるクラウドやフレームワークで作られたエージェント同士が安全に連携可能になります。現在Semantic KernelでPythonサンプルが公開されています。

現在、多くの現場でAIエージェントの開発が進んでいますが、その大半は特定のプラットフォーム内に閉じ込められた孤島のような状態にあります。
マイクロソフトはこの壁を取り払うため、2025年5月7日、オープンな相互通信規格であるAgent2Agent、略称A2AプロトコルをAzure AI FoundryとCopilot Studioに導入すると発表しました。
A2Aは、異なるクラウドやプラットフォーム、組織の境界を越えて、自律型エージェント同士が目標を共有し、状態を管理し、処理を呼び出し合えるようにする通信規格です。
異なるフレームワークのAIをつなぐ仕組み
マイクロソフトのプラットフォームはすでに膨大なエンタープライズ顧客を抱えています。Azure AI Foundryの利用企業は7万社を超え、Epicや富士通、LGエレクトロニクスなどが名を連ねています。
提供開始からわずか4カ月のAgent Serviceも1万組織以上に導入されました。さらにMicrosoft Copilot Studioの利用組織は23万社に達し、フォーチュン500の90パーセントが採用しています。
こうした企業が本格的にマルチエージェント運用を始めるにあたり、最大の懸念となるのが特定ベンダーへの囲い込みです。
A2Aを採用することで、開発者はLangChainやSemantic Kernelといった使い慣れたツールをそのまま使いながら、別の基盤で作られたエージェントと連携させることが可能になります。
安全面でも、Microsoft Entraによる認証、mTLS、Azure AI Content Safety、詳細な監査ログなど、企業向けの統制機能が組み込まれます。
Copilot Studioのエージェントから、マイクロソフト外部でホストされている外部エージェントを安全に呼び出すことも可能になります。
同社はGitHub上のA2Aワーキンググループに参画しており、近くプレビュー版を提供する予定です。すでにSemantic KernelのPython向けに、2つのエージェントが旅行日程の作成と為替換算を自律的に分担するサンプルコードが公開されています。
なぜ重要か
Anthropicが主導するModel Context Protocolがモデルとデータやツールの接続規格であるのに対し、A2Aはエージェント同士の対話プロトコルを標準化する取り組みです。
開発者や企業にとっての直接的なメリットは、社内やパートナー企業が別々に作ったエージェントを、専用の連携コードをゼロから書くことなく連結できるようになる点にあります。
マイクロソフトの戦略は非常に巧妙です。自社のCopilotをユーザー向けの主要インターフェースとして維持しつつ、背後のプロトコルをオープン化することで、囲い込みへの反発を巧みに回避しています。
他社に対してオープンな標準への合流を促すプレッシャーにもなり、業界全体のマルチエージェント化を一段と加速させる可能性があります。
ただし、複数のエージェントが組織をまたいで連携する場合、予期せぬ権限昇格や無限ループ、障害時の責任の所在など、ガバナンス上の難題が一気に増えます。プレビュー版の登場以降、運用の現実味がどれだけ伴うかが試されることになります。
情報源 (1)
- microsoft.com(新しいタブで開きます)原文microsoft.com