Metaに集団訴訟、AIスマートグラスの私生活映像を委託先が確認か
Meta が Ray-Ban AI スマートグラスをめぐり米国で集団訴訟を起こされた。海外委託先がユーザーの私的な撮影映像を確認していたと報じられ、虚偽広告が指摘されている。Meta は、ユーザーが Meta AI に自ら共有したデータのみを改善目的で審査していると説明した。

「プライバシーに配慮した設計」と宣伝されていたスマートグラスが、実際には見知らぬ作業員に私生活の映像を見られていたとしたらどうでしょうか。
米メタと同社と提携するメガネ大手ルックスオティカが、Ray-Ban Metaスマートグラスを巡り、米国で集団訴訟を起こされました。ニュージャージー州とカリフォルニア州の原告が提起したもので、虚偽広告およびプライバシー侵害を訴えています。
ケニアの作業員が見ていた映像
発端はスウェーデン紙による調査報道でした。メタがケニアのナイロビにある下請け企業Samaに委託し、スマートグラスのカメラで撮影された映像を現地の作業員が手作業で確認していたことが判明したのです。
作業員が見ていた映像には、利用者の性行為やトイレの使用、室内で着替える姿など、極めてセンシティブな場面が含まれていました。寝室に置かれたまま録画が続いていたグラスが、知らぬ間に妻の着替えを映していた例も報告されています。
メタ側は顔にぼかしを入れるなどのフィルタリングを行っていると説明していますが、報道によるとその処理が正常に機能せず、顔がはっきり確認できるケースも珍しくなかったとされています。
問題視されているのは宣伝との落差です。メタは「プライバシー重視」「データは自分で管理」とアピールしてきましたが、2025年だけで700万人以上が購入したこの製品には、人間によるレビューを拒否する明確な手段がありませんでした。英情報コミッショナー事務局(ICO)もすでに調査に乗り出しています。
メタは、Meta AIに質問や共有をしたデータのみが体験改善のためにレビューされる対象であり、規約にも記載があるとしています。
なぜ重要か
今回の件は、急成長するAIハードウェアが抱える最大の急所を浮き彫りにしたと私たちは考えます。「先端AIが世界を認識する」という機能の裏側で、実際には安価な人間の手作業によるデータ選別が動いており、企業がそれを表立って説明したがらないという実態です。
ユーザーにとってのリスクは極めて具体的です。リビングや私生活の空間でAI機能を使えば、その視界が遠く離れた下請け業者の画面に表示される可能性があります。今このグラスを使っている人は、プライベートな空間ではAIへの画像問い合わせを控えるか、使用自体を見直すべき段階に来ています。
規約の奥深くに小さく注記しつつ、表向きはプライバシー保護を全面に押し出すメタのやり方は、短期的には賢く見えても、長期的にはハードウェア全体の信用を損なう悪手に見えます。常時カメラを身につけるウェアラブル端末に対して、世界中の規制当局が一段と厳しい視線を向けるきっかけになりそうです。
情報源 (2)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
- bbc.com(新しいタブで開きます)報道bbc.com