OpenAI共同創設者のイリヤ・サツケヴァー氏が退任 後任にヤクブ・パチョッキ氏
OpenAIの共同創設者兼チーフサイエンティストのイリヤ・サツケヴァー氏が退任を発表した。後任には研究ディレクターのヤクブ・パチョッキ氏が就任する。昨年11月の解任劇以降は事実上業務から離れており、スーパーアライメント責任者のヤン・ライケ氏も辞任。サツケヴァー氏は新たな個人プロジェクトに移る意向を示している。

OpenAIが新モデル「GPT-4o」を発表して世界を沸かせた翌日、半年間燻り続けていた問題がついに決着を迎えました。
OpenAIの共同創業者であり、長年チーフサイエンティストを務めてきたイリヤ・サツケヴァー(Ilya Sutskever)氏が退社したことが明らかになりました。CEOのサム・アルトマン氏がXで発表し、後任にはこれまで研究ディレクターを務めていたヤクブ・パチョツキ(Jakub Pachocki)氏が就任します。
さらにニューヨーク・タイムズ紙によると、サツケヴァー氏とともに「スーパーアライメント」部門を率いていたヤン・ライケ(Jan Leike)氏も辞任しました。超知能AIの制御を研究する同組織の監督役は、別の共同創業者であるジョン・シュルマン(John Schulman)氏が引き継ぐ見込みです。
半年前のクーデター劇、その必然の結末
サツケヴァー氏の離脱は、業界にとっては驚きというよりも「ようやく正式に確定した」という受け止め方が大半です。
昨年11月、アルトマン氏が製品化を急ぐあまり安全性を軽視していると懸念した旧取締役会が、電撃的にアルトマン氏を解任しました。その中心にいたのがサツケヴァー氏でした。しかし直後に従業員の反発や出資者の圧力によってアルトマン氏が復帰すると、サツケヴァー氏は立場を翻して謝罪。報道によれば、それ以降同氏は社務に復帰していませんでした。
事実上、昨年11月からチーフサイエンティストの職務を担ってきたのがパチョツキ氏です。パチョツキ氏はカーネギーメロン大学で博士号を取得し、2017年に入社。「Dota 2」でプロゲーマーを破ったAIプロジェクトやGPT-4の開発を主導し、同社の大規模モデル拡張を支えてきた実力派です。
サツケヴァー氏は声明で、OpenAIが安全で有益なAGIを達成することを信じていると述べつつ、自身は「個人的に非常に意義深いプロジェクト」に移ると明かしています。
なぜ重要か
サツケヴァー氏の退社は、OpenAIという組織が「学究的な理想主義ラボ」から「超実利的な巨大テック企業」へと完全に生まれ変わったことを象徴しています。
ジェフリー・ヒントン氏の愛弟子であり、ImageNetの躍進からGPTシリーズのブレイクスルーまでを技術的に牽引してきたサツケヴァー氏は、同社のまさに技術的・倫理的な精神的支柱でした。パチョツキ氏への交代で製品開発のスピード自体は維持されるとみられますが、内部で商業化の暴走に歯止めをかけられる人物がいなくなった痛手は小さくありません。
とりわけ、スーパーアライメント部門のトップが二人同時に去った点は見過ごせません。計算資源の20%を充てると約束されていた安全研究チームが、通常組織へ「深く統合」されるという方針は、安全性検証が製品リリースのスピードに押し流されるリスクを予感させます。
注目すべきは、サツケヴァー氏の次の動きです。もし彼が独自の研究所を立ち上げたり、新たなアーキテクチャの模索に動いたりすれば、追随するトップ研究者も少なくないはずです。AI業界の勢力図と人材の流動が、再び激しく揺れ動くことになります。
情報源 (2)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
- openai.com(新しいタブで開きます)報道openai.com