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IBMが新AI基盤「Watsonx」発表、企業向け生成AIモデルや統制ツールを提供

公開 拡散指数 34

IBMは年次イベント「Think」で、企業向けAI・データ基盤「Watsonx」を発表した。モデル開発用「Watsonx.ai」、データ保管用「Watsonx.data」、統制用「Watsonx.governance」で構成され、Hugging Faceとも連携する。データのプライバシーや透明性を重視する企業へ向け、内製化支援で競合に対抗する狙いだ。

IBMが新AI基盤「Watsonx」発表、企業向け生成AIモデルや統制ツールを提供
画像:techcrunch.com

IBMが再び、AI市場の主役の座を取り戻そうと動き出しました。5月9日に開催された年次カンファレンス「Think」において、同社は企業向けの新AIプラットフォーム「IBM Watsonx」を発表しました。テキストやコードを生成する事前学習済みモデルの提供に加え、企業が自社データを用いて独自のAIを構築・運用できる環境を整えます。

直前には、将来的にAIで代替可能なバックオフィス業務の採用を一時停止すると報じられたばかりのIBMですが、最高商務責任者のRob Thomas氏は記者団に対し、「AIが管理職を奪うのではなく、AIを使う管理職が使わない管理職に取って代わるのだ」と語りました。

同社の調査によると、ビジネスリーダーの30%が信頼性と透明性の不足を、42%がプライバシーへの懸念をAI導入の障壁として挙げています。Watsonxは、まさにこうした大企業の警戒心を解くために設計されたものです。

Watsonxを構成する3つの柱

Watsonxは主に、Watsonx.ai、Watsonx.data、Watsonx.governanceの3つのコンポーネントで展開されます。

Watsonx.aiは、モデルの学習やファインチューニング、検証、配備を行うスタジオ機能です。IBM自身が用意する7種類の事前学習モデルが利用できるほか、AIスタートアップのHugging Faceと提携し、数千規模のオープンソースモデルやデータセットを統合します。

カンファレンスで特に注目されたのは3つのモデルです。自然言語からRed Hat Ansibleなどのコードを生成する「fm.model.code」、有機化学など業界特化のテキストを扱う「fm.model.NLP」、そしてNASAの気候・リモートセンシングデータを基に自然災害や土地利用を予測する「fm.model.geospatial」です。自社製品のWatson Code Assistantなどにも順次組み込まれます。

残る2つは、企業のガバナンスと基盤を支える役割を担います。Watsonx.dataはAIワークロード向けに最適化されたデータストアで、複数の環境に散らばるデータへ単一の窓口から安全にアクセスできます。Watsonx.governanceは、モデルのバイアスやドリフトの検知、倫理基準への適合を監視するツールキットです。

これらに合わせ、IBM Cloud向けの高負荷処理用GPUインスタンスや、Intelと共同開発したクラウド利用時のCO2排出量を可視化するダッシュボード「Cloud Carbon Calculator」も披露されました。

なぜ重要か

自社内に膨大な機密データや業界固有のノウハウを持つエンタープライズ企業にとって、Watsonxは現実的な選択肢になり得ます。パブリックな生成AIサービスにデータを預けられない企業でも、Arvind Krishna CEOが語るように、プライベートクラウドやオンプレミス環境で自社コードを使って安全にモデルを適応させられるからです。

業界全体で見れば、IBMはOpenAIやGoogleのような消費者向けチャットの競争を避け、Amazon SageMakerやGoogle Vertex AI、Azure AIがひしめく法人向けインフラ市場に勝負を挑んでいます。同社のアドバンテージは、NASA連携のような特殊な学習データと、泥臭いシステム統合を支援できる巨大なコンサルティング組織にあります。

私たちは、IBMが「AIの倫理とガバナンス」を前面に押し出したアプローチを極めて合理的だと考えています。大企業が今一番恐れているのは情報漏洩と誤作動だからです。ただし、過去にWatson Healthで過大な期待を抱かせた末に事業売却に至った苦い歴史もあります。スタートアップも含めた開発競争が激化するなか、本当に使いやすくコストに見合うプラットフォームとして現場に定着できるかが問われます。

情報源 (1)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com

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