ハリウッド俳優ら125人超が署名:カリフォルニア州AI安全法案の承認を要求
全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)メンバーを含むハリウッドの著名人125人超が、AI安全法案「SB 1047」への署名を求める公開書簡をニューサム加州知事に提出した。同法案は大手AI開発企業に破局的リスク防止の安全策を義務付けるもので、9月30日の判断期限を前にIT業界と芸能界の対立が激化している。

カリフォルニア州の包括的なAI安全規制法案「SB 1047」を巡り、ハリウッドとシリコンバレーが激しい綱引きを繰り広げています。
火曜日、ジェーン・フォンダ、ペドロ・パスカル、J・J・エイブラムスら125名を超えるハリウッド著名人が、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事に宛てた公開書簡を発表し、同法案への署名を強く求めました。書簡には「AIの可能性を信じているが、リスクにも現実的でなければならない」と記されており、エンタメ業界の利益を超えた安全規制を求める異例の動きとなっています。
表現者の枠を超えた異例のロビー活動
ハリウッドの俳優やクリエイターは、AIの急速な台頭に最も早く直面した当事者です。2023年に118日間続いたSAG-AFTRA(全米映画俳優組合)のストライキでもAI利用が焦点となり、最近ではChatGPTにおけるスカーレット・ヨハンソンの声の無断模倣疑惑が騒動になりました。
ニューサム知事は先頃、俳優のデジタルレプリカやディープフェイクを規制する2つの法案に署名したばかりです。しかし、今回のSB 1047はエンタメ産業の権利保護を目的としたものではありません。大規模なサイバー攻撃やパンデミックの誘発など、巨大AIモデルがもたらし得る壊滅的リスクを防ぐため、開発企業に安全対策を義務付ける内容です。
SAG-AFTRAの指導部や理事12名が書簡に名を連ね、ショーン・アスティンらは個別の書簡や動画で法案支持を表明しました。交渉担当のジェイソン・ウィンストン・ジョージ氏は、自分たちを「炭鉱のカナリア」に例え、テクノロジーの激変を最前線で痛感したからこそ声を上げていると説明しています。
シリコンバレー対ハリウッドの狭間で揺れる知事
法案は8月に州議会を通過しており、知事には9月30日までに署名か拒否権行使かの判断が迫られています。
生成AIトップ5社を擁するカリフォルニア州で法案が成立すれば、実質的な全米統一ルールとなります。反対派にはナンシー・ペロシ元下院議長やサンフランシスコ市長、大手テック企業が並ぶ一方、支持派にはSAG-AFTRAのほか、サービス従業員国際労働組合(SEIU)やイーロン・マスク、さらにはディープラーニング先駆者のジェフリー・ヒントン氏も加わっています。
先週行われたセールスフォース創業者マーク・ベニオフ氏との対談で、ニューサム知事はオープンソース開発への萎縮効果や州の競争力低下に対する懸念をにじませており、拒否権の行使を示唆しているようにも受け取れる発言を残しています。
なぜ重要か
俳優組合が自らの直接的な権利を守る法案にとどまらず、最先端AIのシステムそのものを縛る安全規制の推進に動いた意味は極めて大きいと言えます。テック業界がこれまで唱えてきた「規制は技術革新を殺す」という反論に対し、世論への影響力が強いスターたちが「公益と安全のための安全網だ」と対抗軸を打ち立てた格好です。
業界全体にとって、SB 1047の行方は米国のAI規制の今後を左右します。知事が署名すれば、連邦レベルの法整備が遅れる米国において、カリフォルニアが実質的な業界標準となり、大手各社は開発初期段階から厳格なリスク管理を求められます。逆に拒否権が行使されれば、企業の「自主的な取り組み」に依存する状態が続くことになります。
ハリウッド側の戦術は非常に巧妙に映ります。クリエイターの雇用問題ではなく「破滅的リスクの防止」という大義を掲げることで、過去の選挙で強力な支援者だった映画界の重鎮たちが知事に強い政治的圧力をかけています。テック界の巨額マネーとエンタメ界の世論喚起力、知事がどちらを優先するのか注目されます。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
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