Google「Veo 3」が71カ国へ拡大、GeminiとFlowで生成枠を増量
GoogleはAI動画生成モデル「Veo 3」の提供地域を71カ国拡大したと発表した。GeminiのProユーザー向けに10回分のお試し枠が追加され、Ultraユーザーは日次更新の上限が適用される。映像制作向けFlowでもUltraの月間枠が83回から125回に拡充された。

無音のシュールな映像を作る時代は終わりました。Googleの最新動画生成AI「Veo 3」は、映像だけでなく、指示もしていないセリフまで勝手に喋り出します。
Google I/Oでの発表から約100時間後、Gemini担当副社長のJosh Woodward氏は、Veo 3の提供地域を新たに71カ国へ拡大したと発表しました。Web版Geminiのプロンプト欄に「Video」ボタンが追加され、手軽に呼び出せるようになったほか、モバイル版への展開も予告されています。
プロンプトにないセリフをAIが勝手につぶやく
Veo 3最大の特徴は、映像と同時にリアルな音響やセリフをまとめて生成できる点です。
驚くべきは、プロンプトでセリフを指定していなくても、文脈に合わせた言葉を自発的に付け足す点です。米メディアThe Vergeのテストでは、警官が路上にいる映像を作ったところ、口の動きこそ合っていないものの「通りを空ける必要がある」という声が自動で挿入されました。桟橋にいるアニメ調の猫を生成すれば、「魚が全然釣れない」と勝手に愚痴を言い始めます。
ハーバード大学ロースクールのCyberlaw Clinicに所属するAlejandra Caraballo氏は、実在する米国防長官の死亡を伝える偽ニュース映像を極めてリアルに生成して見せました。Redditでも、作られたAIキャラクターがプロンプトに抗議する動画集が5万件以上の高評価を集めるなど、その音響の生々しさが大きな話題を呼んでいます。
サブスクごとの生成枠と、残る抜け道
Googleはこの機能を既存の有料プランに組み込んでいます。Web版Geminiでは、Proユーザーに10回分のお試し枠が付与され、高額なUltraユーザーには毎日枠が補充される上限が設定されます。映像制作者向けツール「Flow」でも、Proは月10回、Ultraは従来の月83回から125回へと枠が拡大されました。
安全対策も施されています。バイデン大統領が転倒するシーンや、大統領暗殺を伝えるニュース、アップロードした顔写真に特定のセリフを喋らせるディープフェイクなどは弾かれます。しかし、スペースニードルが炎上するシーンや、レーニア山が噴火する映像とニュース速報を組み合わせるような架空の災害は簡単に生成できてしまいます。なお、生成した動画を延長しようとするとVeo 2に切り替わり、音声が消えてしまう制約もまだ残っています。
なぜ重要か
動画生成AIの競争は、画質から「音と映像の一体化」へ完全にシフトしました。これまでのように外部ツールで効果音を探したり音声を合成したりする手間が一切省けるため、ショート動画やアニメの制作効率は劇的に上がります。
クリエイターにとっては強力な武器ですが、同時に低品質な子ども向け動画やフェイクコンテンツを量産する「スロップ製造機」になる懸念も現実味を帯びてきました。数分でBGMとナレーション付きの映像が完成する手軽さは、ネット上の情報空間を濁らせるリスクと背中合わせです。
Soraの一般公開に慎重なOpenAIに対し、GoogleはGeminiの有料プランをテコ入れするために一気に実戦投入してきました。このスピード感は巧みですが、AIが勝手にリアルなセリフを捏造する仕様を見る限り、セーフティの課題はまだ始まったばかりと言えそうです。
情報源 (2)
- x.com(新しいタブで開きます)原文x.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com