GeneralistがGEN-1を発表:ロボット作業の成功率99%を達成、適応学習はわずか1時間
ロボット新興企業のGeneralistは物理AI基盤モデル「GEN-1」を発表し、箱の組み立てや梱包などのタスクで99%の成功率と従来比約3倍の作業速度を達成した。50万時間以上の人体装着デバイスデータで事前学習され、未知のタスクには約1時間のロボットデータで適応できる。途中で失敗しても自律的にリトライするアドリブ力も備える。

これまで汎用ロボットの作業デモを見るときは、再生速度を2倍速にして、途中で止まらないかハラハラしながら見守るのが半ば常識になっていた。
実際の工場や物流の現場では、3回に1回ミスをするようなシステムは到底使えない。これまでの物理AIが実験室の枠を出られず、現場で頑丈な専用プログラミングの産業ロボットが使われ続けてきた理由はそこにある。
米サンマテオを拠点とするロボット新興企業のGeneralistは、最新の物理AI基盤モデル「GEN-1」を発表した。同社によると、前世代モデルで平均64%にとどまっていた単純作業の成功率を99%まで引き上げ、作業スピードも従来の最高水準に比べて約3倍高速化したという。
さらに驚くべきは、この性能を新しいタスクで引き出すために必要なロボット側の追加データが、わずか1時間程度という点だ。
倍速いらずのスピードと、失敗を自力で直すアドリブ力
従来の産業用ロボットは正確だが、部品の位置が数センチずれるだけで停止してしまう。Generalistが掲げるのは、高い信頼性、実用的な作業速度、そして想定外に対応するアドリブ力の両立だ。
GEN-1は実証テストにおいて、段ボールの組み立てを200回以上、ロボット掃除機の点検作業を200回以上、ブロックの箱詰めを1800回以上、人間の介入なしで連続してこなしてみせた。
作業速度も大幅に改善している。特定の段ボールを組み立てるタスクでは、前代のGEN-0やPhysical Intelligence社のpi-0が約34秒かかっていたのに対し、GEN-1はわずか12.1秒で完了した。スマートフォンの箱詰めも15.5秒で終えている。
特筆すべきは、作業中に物がずれたときの柔軟性だ。自動車部品をつかみ損ねそうになった際、GEN-1は作業を中断するのではなく、一度置いてつかみ直したり、作業台の縁を利用して角度を変えたり、もう一方のアームを使って支え直すといった臨機応変な動作を自律的に繰り出す。
50万時間の人体データが変えた開発の常識
これまでの汎用ロボット開発では、人間が遠隔操作装置を使ってロボットアームを何千回も動かすデータ収集が主流だったが、莫大なコストと時間がかかるのが難点だった。
Generalistのアプローチは根本から異なる。GEN-1の事前学習にはロボットのデータを一切使わず、人間がウェアラブル機器を身につけて日常生活や作業を行った50万時間以上のデータのみを使用した。
人間がどう手先を動かし、物理世界と相互作用するかをあらかじめ徹底的に学ばせておくことで、特定のロボットへの適応は約1時間のタスクデータ学習だけで済むようになった。一部のタスクでは、前世代モデルと同じ精度に達するまでの微調整データ量が10分の1に削減されている。
なぜ重要か
GEN-1の登場は、物理AIが「動画映えする実験」から「採算の合う現場導入」へと一歩踏み出したことを意味していると私たちは見ている。
3回に1回失敗するロボットは現場にとってただの邪魔だが、99%の成功率と実用的な作業スピードがあれば、梱包や簡易組み立てといった工程で採算を計算できるようになる。現場ごとの適応がわずか1時間で済むなら、莫大なエンジニアリング費用をかけられない現場でも導入の敷居は一気に下がる。
業界全体にとっても、高価な遠隔操作データに頼らず、人間の装着型デバイスによる事前学習が通用することを示した意義は大きい。まさに言語モデルがGPT-2からGPT-3へとスケールした転換点を彷彿とさせる。
もちろん課題がないわけではない。Generalist自身も認めているように、現時点ですべての複雑な作業に対応できるわけではなく、自動車製造のような極限の精度が求められる現場では99%でもまだ不足だ。だが、物理世界でもスケーリング則が機能することを証明した価値は極めて大きい。
情報源 (1)
- generalistai.com(新しいタブで開きます)原文generalistai.com