Google DeepMindがGemini Robotics ER 2公開、複数ロボット連携とリアルタイム推論に対応
Google DeepMindはロボット向け具身推論モデル「Gemini Robotics ER 2」を公開しました。連続ビデオ映像から作業進捗をリアルタイムに把握し、動作しながら次の行動を計画できるほか、複数ロボットの連携動作にも対応します。

ロボットが部屋を片付ける映像を見ていて、一番もどかしく感じるのはそのぎこちない沈黙でした。物を掴んでは数秒静止して考え込み、動き出してはまたフリーズする。実世界の速度にAIの思考が追いついていなかったためです。
Google DeepMindは、この課題を解消するロボット向け具身推論モデル Gemini Robotics ER 2 を発表しました。
今回の発表は単一のモデルにとどまりません。高次の司令塔となる ER 2 のほか、全身運動を司るアクションモデル Gemini Robotics 2、わずか数時間のデータで未知の機体に適応できるオンデバイスモデルの3層構成となっています。
考えながら動く、実世界のための時間認識
従来のロボットにとって、作業が完了した瞬間を判断することは極めて困難でした。コップに水を注ぐのをいつ止めるか、ゴミ袋がしっかり縛られたかを確かめる目配りです。
ER 2 は連続する動画入力を監視し、進捗をリアルタイムに把握します。作業状況を5段階で分類するタスクでは57.4パーセントの精度を記録し、途中で失敗しても最初からやり直さず、その場で修正動作に移れるようになりました。
注ぐのを止める瞬間などを捉える特定瞬間検出では、91.3パーセントの精度と1秒未満の平均誤差を達成しました。計算コストを抑えつつ実行速度を4倍に引き上げ、物理ロボットを安全に制御できるサブセコンドの低遅延を実現しています。
さらに Gemini Live API を介した双方向ストリーミングにより、ロボットは次の手を考えながら同時に手足を動かせるようになり、不自然な一時停止が消えました。ボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット Spot が自然言語の指示を受けてポップコーンを持ってくるデモも公開されています。
異種ロボットの連携と指先の器用さ
もう一つのハイライトは、形状の異なるロボット同士のチームワークです。
Apptronikのヒューマノイド Apollo 2 と多関節アーム Franka が、共通の意味理解をベースに協調作業を行いました。Apollo 2 は22自由度を持つ SharpaWave 5本指ハンドを使ってジッパー袋を閉じるような繊細な作業をこなし、Franka は箱詰めを担当します。
人間が接近した際に自動で動作を停止し、安全が確認されてから再開する安全機構も標準で組み込まれました。
ER 2 はすでに Gemini API および Google AI Studio を通じて一般開発者に公開されています。
なぜ重要か
高レベルの思考と低レベルの運動制御を完全に切り離したアプローチは、非常に理にかなっていると私たちは考えます。巨大な基盤モデルに直接モーターの角度を出力させるのではなく、ER 2 を司令塔にして既存の制御APIやアクションモデルをツールとして呼び出す設計にしたことで、ハードウェアを問わず柔軟に適用できるようになりました。
ロボット開発者にとっては、これまで複雑な条件分岐で組んでいた作業完了判定を、カメラ映像を流し込むだけのAPI呼び出しに置き換えられる点が大きな魅力です。
一方で、進捗分類の精度が57.4パーセントにとどまっている点は無視できません。工場での精密組立や家庭内の調理など、一度のミスが致命的になる現場に完全自動で投入するにはまだ心もとない数字です。頭脳の設計思想は素晴らしいものの、実用化には人間による安全監視が欠かせません。
情報源 (2)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google
- deepmind.google(新しいタブで開きます)報道deepmind.google