Google DeepMind、ロボット向けAI「Gemini Robotics 1.5」発表
Google DeepMindは実世界のロボット向けモデル「Gemini Robotics 1.5」と推論用「Gemini Robotics-ER 1.5」を発表した。行動前に思考して動作を生成し、異なる形状のロボット間でも技能を転移できる。ER 1.5はGoogle AI StudioのGemini APIで提供開始された。
ゴミの分別をロボットに頼む場合、単に目の前にあるものを認識するだけでは足りません。地域の分別ルールをネットで調べ、目の前にある素材を特定し、どのゴミ箱に入れるかを判断した上で、腕を器用に動かす必要があります。
Google DeepMindは9月25日、こうした現実世界の複雑なタスクに対応する2つの新モデル「Gemini Robotics 1.5」と「Gemini Robotics-ER 1.5」を発表しました。
ロボットの司令塔となるGemini Robotics-ER 1.5は、同日よりGoogle AI StudioおよびGemini APIを通じてプレビュー提供が開始されました。身体の動作を司るGemini Robotics 1.5は、一部の選定パートナー向けに限定公開されています。
思考する頭脳と、実行する身体の分離
Googleはロボットの処理系を、高度な思考を担当する頭脳と、具体的な動きを受け持つ手足の2層に分けました。
Gemini Robotics-ER 1.5は、空間認識と計画立案に特化した具身推論モデルです。自然言語の曖昧な指示を受け取ると、Google検索を自律的に呼び出して外部情報を調べたり、外部APIを叩いたりしながら作業工程を組み立てます。
開発者向けツールとしても機能が強化されており、画像内の物体を認識して正規化された2次元座標を出力できます。深度センサーと組み合わせれば精密な3次元位置を特定できるほか、動画を入力して「ノートパソコンが開いているか閉じているか」といった状態変化を時系列で追跡することも可能です。
こうして細分化された指示が、動作を担当するGemini Robotics 1.5へと送られます。
行動する前に言語で考える
従来のVision-Language-Action(VLA)モデルは、カメラ画像や指示文を直接モーターの制御信号へ変換するものが主流でした。この方法では、想定外の状況でエラーが起きやすくなります。
Gemini Robotics 1.5は、動作を起こす前に自然言語で推論ステップを組み立てます。たとえば洗濯物の色分けを指示された場合、何色の服をどのカゴに入れるべきかを整理し、掴みやすい位置に服を寄せてから持ち上げるといった判断を段階的に行います。
さらに、ロボットの形態の違いを越えて動作を学習できる点も特徴です。ALOHA 2で学習させた作業スキルが、Apptronikの人型ロボットApolloやFrankaの双腕ロボットへそのまま転移できたと報告されています。
安全性に関しては、評価ベンチマーク「ASIMOV」を刷新し、高次の推論レベルで安全性をチェックしつつ、緊急時には衝突回避などの低レベル安全システムを連動させる仕組みを取り入れました。
なぜ重要か
ロボット開発者にとって、空間推論に特化した高性能モデルがAPIで即座に試せるようになった意義は大きいです。自前でマルチモーダルな空間認識基盤を構築するコストをかけず、Google AI Studio経由ですぐに実機へ組み込めます。
業界全体で見れば、異なるハードウェア間で動作データを共有できる「クロスエンボディメント学習」の進展が最大の注目点です。ロボットの形状ごとにゼロからデータを集め直す必要が薄れれば、フィジカルAIの普及スピードは一気に加速します。
思考(ER 1.5)と運動制御(Robotics 1.5)を切り分けたGoogleの設計は、現実的で堅実だと評価できます。ただし、クラウド経由の高次推論とミリ秒単位が求められる現場の物理制御をどこまで低遅延で同期させ続けられるかは、今後の実証を見守る必要があります。
情報源 (2)
- deepmind.google(新しいタブで開きます)原文deepmind.google
- developers.googleblog.com(新しいタブで開きます)報道developers.googleblog.com