人型ロボットのFigure AIが6.75億ドル調達、OpenAIやNVIDIAが参画
人型ロボット新興のFigure AIが6億7500万ドルの資金調達を発表し、評価額は26億ドルに達した。ベゾス氏、NVIDIA、マイクロソフト、OpenAIらが出資。あわせてOpenAIと提携し、人型ロボット向けの次世代AIモデルを共同開発する。

この1年間、大手テック企業はAIを画面の中に閉じ込め、テキストやコードを処理させてきました。しかし今、業界の巨人たちが一斉に視線を向けているのは、そのAIに手足を与えて物理世界へ解き放つことです。
人型ロボット新興企業のFigure AIは、シリーズBラウンドで6億7500万ドルの資金調達を実施したと発表しました。評価額は26億ドルに達しています。出資者にはジェフ・ベゾス氏、NVIDIA、マイクロソフト、OpenAI Startup Fundをはじめ、Amazon系の投資ファンド、Intel Capital、Parkway Venture Capital、Align Ventures、ARK Investなど錚々たる顔ぶれが並びました。
Bloombergの事前報道によると、ベゾス氏がExplore Investmentsを通じて1億ドル、マイクロソフトが9500万ドル、NVIDIAとAmazon系ファンドがそれぞれ5000万ドルを出資し、買収を見送ったOpenAIも500万ドルを出資しています。
テック巨頭の連合軍がロボットの頭脳を開発
今回の発表で最大の焦点となったのは、巨額の資金だけでなくOpenAIとの戦略的提携です。両社は人型ロボット向けに特化した次世代AIモデルを共同開発することで合意しました。OpenAIのマルチモーダル推論研究と、Figure AIのハードウェアおよびソフトウェア技術を組み合わせ、自然言語の指示を理解して自律的に判断できるロボットを目指します。
モデルの学習や運用を支えるクラウド基盤には、マイクロソフトのAzureが全面的に採用されます。
OpenAIは2021年に社内のロボット研究部門を閉鎖し、大規模言語モデルのスケーリングに専念していました。今回の提携はその領域への本格的な再参入を意味します。OpenAIの製品・パートナーシップ担当バイスプレジデントであるPeter Welinder氏は、ロボット分野への復帰は常に計画しており、高度なマルチモーダルモデルが人型ロボットで何を達成できるかを探る道筋がFigureとの提携で見えたとコメントしています。
Figure AIは、空飛ぶタクシーのArcher Aviation共同創業者であるBrett Adcock氏が2022年に設立しました。Boston Dynamics、Tesla、Google DeepMind、Archer Aviation出身の熟練エンジニアを集めています。同社は今週、安全帯を装着したプロトタイプ「Figure 01」が倉庫内を歩行し、プラスチック製の箱を持ち上げてコンベアに載せる実証動画を公開しました。
なぜ「人間の体」にこだわるのか
Figure 01は全アルミニウム製の電動アクチュエータ駆動で、身長5フィート6インチ(約168cm)、体重130ポンド(約59kg)、可搬重量44ポンド(約20kg)と、人間の体格に厳密に合わせた設計を採用しています。
Boston DynamicsのAtlasが無骨な機能優先の油圧機構を持ち、Agility RoboticsのDigitが倉庫棚に適した鳥のような逆関節の脚を持つのに対し、Figureは完全な人間型にこだわっています。Adcock氏の狙いは明確です。既存の工場、倉庫、物流施設はすべて人間の体格に合わせて作られており、ロボットのために施設を改修するコストをゼロにするには、人間と同じ体を持つロボットを送り込むのが最も合理的だからです。
製造現場もすでに動き出しています。Figure AIは今年1月、独自動車大手のBMWと商業契約を結び、米国サウスカロライナ州の工場で危険作業や単調作業を自動化するための試験導入を進めています。
なぜ重要か
私たちは、今回の大型調達がAI業界の主戦場を「画面の中の知能」から「物理世界で働く身体性知能(Embodied AI)」へと決定的にシフトさせたと考えています。
製造業や物流業の現場にとって、この進化は自動化の前提を覆す可能性を持っています。従来の産業用ロボットは特定の定位置で単一の作業を繰り返すだけでしたが、OpenAIの言語理解を備えた人型ロボットであれば、「あの箱をコンベアに運んで」といった日常会話の指示で柔軟に動くことができます。もっとも、現段階のFigure 01はまだ安全綱付きの試験段階であり、中小企業や一般の開発者がすぐに現場へ導入できる製品ではありません。
業界の勢力図という観点では、TeslaのOptimusやAmazonがテストするDigitに対抗する強力な連合体が成立しました。ハードウェアの製造だけでも膨大な資本を消費するロボット新興企業にとって、自前で大規模モデルを開発するのは無謀です。Figure AIはモデルをOpenAIに、クラウドをマイクロソフトに、半導体をNVIDIAに委ねることで、最も強力な味方を株主に引き入れる極めてクレバーな立ち回りを見せました。
ただし、130ポンドという制約された人間の体格の中に十分なバッテリーとモーター、放熱機構を収め、現場で連続稼働させるハードルは依然として極めて高いままです。大手テック各社が競って小切手を切ったのは「身体を持ったAI」という巨大な次世代プラットフォームから脱落できないからですが、デモ動画の段階から工場の実稼働ラインで信頼を勝ち取れるかどうかは、これから2年の実証にかかっています。
情報源 (5)
- reuters.com(新しいタブで開きます)原文reuters.com
- arstechnica.com(新しいタブで開きます)報道arstechnica.com
- siliconangle.com(新しいタブで開きます)報道siliconangle.com
- the-decoder.com(新しいタブで開きます)報道the-decoder.com
- axios.com(新しいタブで開きます)報道axios.com
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