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研究

Google DeepMind、15日先を予測する気象アンサンブルAI「GenCast」公開

公開 拡散指数 38

Google DeepMindは気象アンサンブル予測AI「GenCast」をNature誌で発表し、コードと重みをオープンソース化しました。欧州中期予報センターのENSと比べ、予測ターゲットの97.2%で上回る精度を単一TPUによる8分の計算で達成しました。

Google DeepMind、15日先を予測する気象アンサンブルAI「GenCast」公開
画像:deepmind.google

GenCastは、Google DeepMindが開発・オープンソース化した全球気象アンサンブル予測AIモデルです。解像度0.25°で最長15日先までの天気動向と極端気象リスクを確率的に予測できます。

従来の確定論的なAI気象モデルが1つの予測結果しか出せなかったのに対し、GenCastは50以上の軌道を同時に生成するアンサンブル予測を行います。これにより、未来の天候の不確実性と発生確率を正しく把握できます。

何ができるのか

気象予測は数日先になると不確実性が急増します。そのため気象機関では、初期値を少しずつ変えた複数の予測シナリオ(アンサンブル)を走らせます。台風の進路が揃っていれば確度が高く、ばらついていれば不確実性が高いと判断できます。

欧州中期予報センター(ECMWF)の現行最高峰システム「ENS」との比較検証では、1320通りの評価ターゲットのうち97.2%でGenCastがENSを上回る精度を記録しました。36時間以上の予測に限れば勝率は99.8%に達します。

熱波や寒波、強風、熱帯低気圧(台風・ハリケーン)の進路予測といった極端気象の検知においてもENSを凌駕しました。さらに世界各地の風力発電量の予測実験でも、ENSより優れた結果を示しています。

仕組みと動作環境

GenCastのベースは、画像や動画生成で使われる拡散モデル(Diffusion Model)です。地球の球面幾何構造に適応させた設計になっており、直近の気象データを入力することで、将来の気象シナリオの確率分布を直接生成します。

学習にはECMWFのERA5過去40年分のデータを使用し、気温、風速、気圧などの変数を0.25°の解像度で学習させました。

特筆すべきは計算効率です。従来の物理ベースのアンサンブル予測は数万台規模のプロセッサを積んだスーパーコンピュータで数時間かかりますが、GenCastはGoogle Cloud TPU v5単体で1つの15日予測をわずか8分で完了します。複数のアンサンブル軌道も並列で一気に生成可能です。

Nature誌に論文が掲載されると同時に、コードと重みが公開されており、今後はリアルタイム予測データや過去の予測データの提供も予定されています。

なぜ重要か

防災計画、再生可能エネルギー運用、農業や物流のリスク管理に関わる研究者やエンジニアにとって、直ちに検証する価値があるオープンモデルです。これまで国家級のスパコンを独占しなければ走らなかった高精度アンサンブル予測が、クラウドTPU数台で回せるようになります。

ただし、GenCast単体で完結するわけではありません。入力となる初期値や同化データは依然としてECMWFなどの物理観測ネットワークに依存しています。それでも、生成AIの確率分布生成能力を地球科学に融合させ、実用レベルの精度と桁違いの省リソースを両立させた意義は極めて大きいです。

情報源 (1)

  1. [1]
    deepmind.google(新しいタブで開きます)原文deepmind.google

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