DeepMind、多様なロボットアームに対応するAIモデル「RoboCat」を発表
DeepMindはさまざまな実機ロボットアームで動作する自適応型AIモデル「RoboCat」を発表した。100〜1000回ほどの人間の操作実演から新しい作業を学習し、自らデータを生成してスキルを磨く。ただタスクによって成功率は13%から99%と大きなばらつきがある。

ロボットアームに新しい作業を教え込む作業は、これまで膨大な時間と労力を要する力仕事でした。アームの機種を変えれば、最初からやり直すのが当たり前だった世界に、Google DeepMind が新たな風穴を開けようとしています。
同社が発表した自律型 AI モデル RoboCat は、単一のモデルでありながら多種多様な作業をこなし、実世界の異なるロボットハードウェアにも短時間で適応できるのが特徴です。
データを自給自足する訓練ループ
RoboCat のベースには、同社のマルチモーダルモデル Gato の知見が生かされています。仮想環境内の制御データや人間による遠隔操作データ、過去の自身のデータを組み合わせて作られました。
訓練の手順はユニークです。まず人間がアームを遠隔操作し、ギアを拾う、ブロックを積むといった作業のデモを 100 回から 1000 回収集します。
次にそのデータを使って RoboCat を微調整し、特定のタスクに特化した派生モデルを作成します。この派生モデルが単独で平均 1 万回の自己練習をこなし、追加データを自ら生成します。
人間によるデモデータと派生モデルが生み出した練習データを合わせて本体にフィードバックすることで、RoboCat は段階的に賢い次期バージョンへと自己進化していきます。
異なるアームへの適応と激しい成功率の波
最終バージョンの RoboCat は、合計 253 種類のタスクで訓練され、シミュレーションと実世界の両方で 141 のタスクバリエーションを用いて検証されました。
特に注目されるのがアームへの適応力です。もともと 2 本指アームの 4 種類のロボットで訓練されていましたが、制御入力数が 2 倍になる複雑な 3 本指ハンドにも適応してみせました。
DeepMind の研究者 Alex Lee 氏によれば、特定のタスクではわずか 100 回のデモで新しい動作を学習できたといいます。研究チームは将来的に、このデモ回数を 10 回未満にまで減らすことを目指しています。
もっとも、課題も残されています。テストにおけるタスク成功率は 13 パーセントから 99 パーセントと極めて大きなばらつきがあり、デモデータを半減させると成功率は大幅に低下しました。
なぜ重要か
製造現場や物流の自動化において、ハードウェアごとに専用モデルを一から開発し直すコストは最大の障壁でした。RoboCat のように人間が数十回動かしてみせるだけで新しいロボットが作業を自習できるようになれば、現場導入のハードルは一気に下がります。
物理世界でのロボットデータはテキストデータと違って収集が困難です。その点、少数の人間デモから派生モデルを作り、自己生成データで本体を強化していくループを構築したアプローチは極めて合理的だと評価できます。
一方で、成功率が 13 パーセントまで落ち込むケースがある現状は、信頼性が最優先される産業用途においては大きな懸念材料です。工場でアームが部品を取り落とせばライン全体が止まりかねません。現時点では革新的な研究成果であるものの、現場で使える実用ツールになるにはまだ安定性の壁を越える必要があると考えられます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com