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研究

Google DeepMind、全90億通りのDNA変異を予測する「AlphaGenome Atlas」公開

公開 拡散指数 57

Google DeepMindはヒトゲノムの全90億通りに及ぶ一塩基変異の影響を予測したデータベース「AlphaGenome Atlas」を公開した。コーディング・非コーディング領域を網羅したAVIスコアを提供し、研究者はノーコードのポータルから直接検索できる。

Google DeepMind、全90億通りのDNA変異を予測する「AlphaGenome Atlas」公開
画像:blog.google

ヒトゲノムは約30億塩基対で構成されていますが、科学がその働きを十分に解明できているのは、タンパク質をコードするわずか2%に過ぎません。残る98%は非コーディング領域と呼ばれ、遺伝子の発現を制御する重要な役割を持つとされながらも、長らく謎に包まれていました。

Google DeepMindはヒトゲノム内に生じ得るすべての変異を網羅した予測データベース「AlphaGenome Atlas」を公開しました。AIモデル「AlphaGenome」を活用し、全90億通りに及ぶ一塩基変異(1文字の置換)が分子レベルで及ぼす影響を網羅的に事前計算した地図です。

90億の変異を1ペタバイトに事前計算

DNAの塩基はA、C、G、Tの4文字で表されます。たった1文字の変異が無害な個性となることもあれば、深刻な難病の引き金となることもあります。しかし、90億通りもの変異を実験室で1つずつ検証することは不可能です。

DeepMindはすでに変異の影響を予測するモデル「AlphaGenome」を公開していましたが、毎回モデルを実行して推論を行うには多大な計算資源が必要でした。DeepMindのゲノム部門を率いるジガ・アヴセク氏は、探索空間があまりに膨大だったため、全体を事前計算して体系化するまでに相応の時間を要したと述べています。

完成したデータベースの総容量は約1ペタバイトに達し、同社のタンパク質構造データベース「AlphaFold Database」の30倍以上の規模を誇ります。

膨大なデータを迅速に活用するため、DeepMindは新たな指標「AVIスコア」を導入しました。非コーディング領域の制御を予測するAlphaGenomeと、タンパク質の構造変化を予測するAlphaMissenseの成果を統合し、変異の影響度を単一の数値として要約しています。

希少疾患の解明とノーコードでの提供

このデータベースは、すでに先行研究で具体的な成果を上げています。

ブロード研究所のローラ・コヴィル氏らのチームは、AVIスコアを活用して原因不明だった希少疾患のゲノム解析を実施しました。その結果、DNM1遺伝子に存在する特定の変異が異常なスプライシング部位を生み出すという予測が示され、長年未解決だった症例の解明に至りました。

また、UKバイオバンクの参加者5万4000人以上のデータを対象とした研究では、ガレス・ホークス博士がこの図譜を用いて変異を分類したところ、非コーディング領域における遺伝的関連の検出数が22%向上しました。影響度の高い上位1%の変異に焦点を絞ることで、BMIに関連する19のゲノム領域が新たに特定されています。

AlphaGenome Atlasは、プログラミング経験のない研究者でも利用できるウェブポータルを通じて、非商用・学術向けに無償公開されています。API経由のアクセスやGoogle Antigravityのスキルとしても提供され、Google Cloudを通じた商用利用も近日中に開始される予定です。

なぜ重要か

今回の取り組みで私たちが最も評価すべきだと考えるのは、AIの高度な推論を「事前計算された辞書」として一般の研究者に開放した点です。

最先端のゲノム予測AIを自前で運用するには莫大な計算リソースと専門的なインフラ構築が必要であり、一般の医療現場や小規模な研究室には高いハードルでした。90億通りの組み合わせをあらかじめ1ペタバイトのデータとして完結させたことで、研究者はウェブ上で検索するだけで、優先して調べるべき変異を即座に見つけ出せるようになります。

業界全体から見ても、AlphaFoldで2024年のノーベル化学賞を受賞したDeepMindが、タンパク質の立体構造から遺伝子制御の全体像へと科学AIの支配域を着実に広げていることを示しています。デミス・ハサビス氏が率いる創薬スタートアップIsomorphic Labsの基盤強化につながるだけでなく、競合のテック企業に対する厚い参入障壁となるはずです。

ただし、Atlasが提供するデータはあくまでAIによる予測値であり、実験室での生化学的検証に代わるものではありません。AVIスコアが高く出た変異であっても実際の臨床応用には慎重な検証が不可欠であり、予測モデルが持つバイアスや長距離の遺伝子制御における精度については、今後の世界的なコミュニティによる検証を見守る必要があります。

情報源 (4)

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    blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google
  2. [2]
    deepmind.google(新しいタブで開きます)報道deepmind.google
  3. [3]
    theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com
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    youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com

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