デイリークイーンがAI注文を導入:米加のドライブスルー数十店舗で展開
米ファストフード大手のデイリークイーンが、米国とカナダのドライブスルー店舗に Presto 製 AI 音声注文ボットを導入すると報じられた。注文精度は約 90% で、接客速度の向上やついで買いの促進を狙う。なお、過去には裏で人間が補助している実態も報じられていた。

ドライブスルーで注文するとき、店員の聞き間違いや混雑時のピリピリした対応に気まずい思いをした経験は誰にでもあるはずです。米老舗チェーンのデイリークイーン(Dairy Queen)は、その窓口業務を AI に任せる決断を下しました。
同社は米プレスト(Presto)の音声 AI チャットボットを、米国とカナダの数十店舗のドライブスルーに本格導入します。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、狙いは注文対応のスピードアップと、追加注文を促すアップセルにあります。
無料コーンの日でも不機嫌にならないボット
デイリークイーンは昨年の試験運用を経て、今回の本格展開に踏み切りました。テストの場として選ばれたのは、最も混雑する無料ソフトクリーム配布日でした。
同社 IT 担当執行副社長のケビン・バートマン氏が同紙に語ったところによると、車が長蛇の列を作ってもボットは淡々と対応し、決して不機嫌にならなかったといいます。
プレストのシステムは、約 90 パーセントの精度で正しく注文を取ることができます。同社はすでにカールス・ジュニアやハーディーズ、タコ・ジョンズなどのファストフード各社にも技術を提供しています。
AI の裏に潜む人間と各社の苦戦
もっとも、このシステムが完全に自動化されているかといえば、実態は少し異なります。
ブルームバーグは 2023 年、プレストのドライブスルー AI の裏で、フィリピンなどの遠隔地にいる人間のオペレーターがリアルタイムで聞き取りを補助している実態を報じています。
また、ドライブスルーの AI 化は業界全体で試行錯誤が続いています。ウェンディーズは Google と組み、マクドナルドは試験導入後に一度立ち止まりました。タコベルではボットに苛立った客やからかい目的の注文が多発し、展開の見直しを迫られました。バーガーキングに至っては、注文受付だけでなく店員のヘッドホンに AI を入れ、接客態度が友好的かどうかを監視するテストまで行っています。
なぜ重要か
今回の導入は、人手不足と人件費高騰に悩む飲食業界の切実な事情を浮き彫りにしています。AI の強みは高度な知能というよりも、どれだけ混み合っていても疲れを見せず、必ず追加メニューを提案してくれる安定性にあります。人間の店員ならピーク時に省きがちな一言を、確実に積み重ねられるのは店舗側にとって大きなメリットです。
しかし、90 パーセントの正解率というのはドライブスルーの現場では危うい数字でもあります。10 台に 1 台の割合で聞き間違いが起きれば、後ろの車列全体が滞留してしまい、本来の目的である時間短縮が台無しになります。
裏で人間の遠隔サポートに頼っている状態が続くなら、コスト削減の効果も限定的にならざるを得ません。顧客が求めているのは気の利いたセールストークではなく、正確かつ素早い受け渡しです。このギャップを埋められない限り、AI ドライブスルーは便利さよりも苛立ちを生むリスクを抱え続けることになります。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com