Anthropic、CMS設定ミスで未発表モデルの詳細など約3000件の社内データを流出
Anthropicのコンテンツ管理システムの設定ミスにより、公開データベース上に未発表の最上位モデルやCEOの非公開イベント計画など約3000件の未公開資産がアクセス可能な状態になっていた。同社は指摘を受けて保護措置を実施し、ClaudeなどAIツールの不具合ではなく人為的ミスだと説明した。

世界屈指のAI企業の極秘情報を暴くのに、高度なハッキング技術は必要ありませんでした。必要なのは、同社のウェブサイトのCMSに問い合わせる初歩的なリクエストだけだったようです。
Anthropicが自社のコンテンツ管理システムの設定不備により、未公開データおよそ3000件を一般からアクセス可能な公開データベース上に放置していたことが判明しました。米Fortune誌の依頼でデータを分析したケンブリッジ大学のサイバーセキュリティ研究者、Alexandre Pauwels氏が明らかにしました。Fortuneからの連絡を受け、同社は木曜日にデータを非公開化する対応を取りました。
未発表の最強モデルとCEO極秘会合の計画が流出
問題の原因は、Anthropicが利用していた外部CMSの仕様にありました。アップロードされた文書や画像は手動で「非公開」に設定しない限り、初期設定で誰でもアクセスできる仕組みになっていたのです。社内での設定漏れにより、下書き記事や画像、PDFが公衆の面前に放置され、一部のファイルにはそのままブラウザでアクセス可能なURLが割り振られていました。
放置されていたファイルの多くは、使われなくなったブログ用バナーやロゴ、従業員の育児休業に関する社内用画像といった日常的な素材でした。しかしその中に、重大な未発表情報が紛れ込んでいました。
社内文書には、同社がこれまでにトレーニングした中で「最も高性能」と位置づける未発表AIモデルの詳細が含まれていました。Fortuneの問い合わせに対し、Anthropic側もこの存在を認め、新モデルは推論やコーディング、サイバーセキュリティの面で従来モデルを大きく上回る「段階的な進化」を遂げており、一部の早期アクセス顧客とテスト中であると回答しました。さらに、同社CEOのDario Amodei氏が出席予定の、欧州企業トップを集めた英国内での招待制リトリートの計画も漏洩していました。
同社の広報担当者は、このトラブルが「外部CMSツールの設定における人的ミス」によるものであり、ClaudeやCoworkなどの同社製AIツールとは無関係だと釈明しています。また、コアインフラやAIシステム、顧客データ、セキュリティ基盤への影響はないと強調しました。
なぜ重要か
AIの「安全性」を最大の売りにし、自社開発の多くをClaudeベースのAIエージェントで自動化していると誇ってきたAnthropicにとって、広報用ブログの初歩的な設定ミスで次世代モデルをすっぱ抜かれたのはかなりバツが悪い出来事です。釈明の場で「AIのせいではなく人間のミスだ」と強調せざるを得なかった点も皮肉と言えます。
もっとも、ステージング環境やCDNの設定ミスで未発表製品が漏れる事故自体は珍しくありません。過去にはAppleがサイトマップ経由で新iPhoneの名称を漏らしたり、任天堂やEpic Gamesがゲーム内素材を公開状態にしていた事例もあります。
しかし現在はこの手のミスが引き起こすリスクが以前とは桁違いです。皮肉にも同社が提供するClaude CodeなどのAIコーディング支援ツールを使えば、公開エンドポイントを巡回し、ファイル名の命名規則を推測して未公開データを芋づる式に掘り出すスクリプトを誰でも数分で組めてしまいます。
AIモデルの重みや学習基盤をどれだけ頑丈な金庫にしまっていても、マーケティング部門が使うサードパーティCMSの「初期設定で公開」という穴一つで、今後の製品戦略が丸見えになってしまいます。AIによる自動探査が当たり前になった今、旧来の緩いWeb運用の危険性を改めて突きつける教訓と言えます。
情報源 (1)
- fortune.com(新しいタブで開きます)原文fortune.com