AWSが3nmのAIチップ「Trainium3」発表、次世代はNvidiaとの連携も視野に
AWSは年次カンファレンス「re:Invent 2025」で自社開発の3nm AIチップ「Trainium3」を発表した。前世代比で性能とメモリが4倍、電力効率が40%向上している。さらに開発中の次期チップ「Trainium4」では、NvidiaのNVLinkをサポートし両社GPUの併用を容易にする計画も明かした。
生成AIの爆発的な普及に伴い、データセンターの電力不足と計算資源の確保が世界的な課題となる中、米Amazon Web Services(AWS)が自社製AIチップの大幅な刷新を発表しました。
AWSは年次カンファレンス「AWS re:Invent 2025」において、最新の自社開発AIチップ「Trainium3」と、それを搭載したシステム「Trainium3 UltraServer」を正式に披露しました。
さらに同社は、開発進行中の次世代チップ「Trainium4」のロードマップも示し、NVIDIA製GPUとの連携を強化する方針を明らかにしました。
3nm採用の「Trainium3」、最大100万個のクラスタ構成に対応
Trainium3は最先端の3nmプロセスで製造されており、前世代のTrainium2と比較して性能とメモリ容量がともに4倍以上向上しています。AIモデルの学習だけでなく、需要が急増する推論処理にも対応します。
システム構成の「Trainium3 UltraServer」は、1ラックあたり144個のTrainium3を搭載します。AWS独自のネットワーキング技術を用いることで、数千台のUltraServerを相互接続可能です。
これにより、単一のアプリケーションに対して前世代の10倍となる最大100万個のTrainium3チップを連携させた超大規模クラスタを提供できます。
消費電力の抑制も注力された点です。新システムは前世代比で電力効率が40%向上しており、電力逼迫に悩むデータセンターの運用負荷軽減を狙っています。
すでに米Anthropicをはじめ、日本のLLM開発企業であるカラクリ、SplashMusic、Decartなどが導入しており、推論コストの大幅な削減を達成していると発表されています。
次世代「Trainium4」ではNVIDIAのNVLink Fusionをサポート
発表の中で注目を集めたもう一つのトピックが、現在開発が進められている「Trainium4」の計画です。
AWSによると、Trainium4はNVIDIAの高速相互接続技術「NVLink Fusion」をサポートする予定です。
現在、主要なAIアプリケーションの多くはNVIDIAのソフトウェア基盤であるCUDAを前提に構築されています。
Trainium4がNVLink Fusionに対応することで、AWSの低コストなサーバラック技術を活かしながら、自社チップとNVIDIA製GPUをシームレスに混在・相互運用できるようになります。なお、Trainium4の具体的な提供時期は明かされていません。
なぜ重要か
モデル開発者や企業にとって、AIモデルの大規模化に伴うインフラコストと電力消費の抑制は喫緊の課題です。Trainium3がもたらす4倍の処理能力と40%の電力効率向上は、特に推論コストを大幅に下げたい企業にとって現実的な代替選択肢となります。
クラウド業界の競争という観点では、単一クラスタで100万チップを束ねられる拡張性を示したことで、AWSは大規模基盤モデルの学習インフラとしての存在感を改めてアピールしました。
さらに我々は、次世代のTrainium4でNVIDIAのNVLink Fusion採用を予告した点を非常に現実的かつ巧みなアプローチだと評価しています。
強固なCUDAエコシステムに対して正面から孤立した戦いを挑むのではなく、自社の低コストな独自ラックにNVIDIA製GPUを同居させる道を選びました。これにより、顧客の移行ハードルを下げ、結果として自社クラウドインフラへの囲い込みを強化できるとみられます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com