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業界動向

Zoom、利用規約改定で一部の顧客データをAI学習に利用可能に

公開 拡散指数 43

Zoomが付で利用規約を改定し、診断情報やテレメトリなどの「サービス生成データ」をオプトアウト不可でAI学習に利用する権利を明記した。音声やチャット本文については、ユーザーが生成AI機能を有効化して明示的に同意した場合に限り利用するとしている。

Zoom、利用規約改定で一部の顧客データをAI学習に利用可能に
画像:cnbc.com

利用規約を隅々まで読むユーザーはめったにいませんが、Zoomはその隙をつく形で自社のAI戦略を一歩前進させました。

CNBCが8月7日に報じたところによると、Zoomは7月27日付で利用規約を改定し、機械学習や人工知能(AI)モデルのトレーニングおよび調整に顧客データを利用する権利を明記しました。この変更が明るみに出ると、瞬く間にプライバシーをめぐる議論が巻き起こりました。

規約の改定内容は大きく2つの枠組みに分かれています。

オプトアウト不可の「サービス生成データ」

まず対象となったのが「サービス生成データ(Service Generated Data)」と呼ばれるカテゴリーです。

ここには、製品の利用状況、テレメトリ、診断ログといったシステム関連のデータが含まれます。規約では、ZoomがAIや機械学習の学習目的を含め、このデータを収集、加工、共有、保存することにユーザーが同意したとみなされます。

重要なのは、このデータ収集に対してオプトアウト(利用拒否)の選択肢が用意されていない点です。Zoomを使い続ける限り、これらのログは自社モデルの改善に自動的に組み込まれることになります。

会議の音声やチャット本文はどうなるのか

最も懸念されたのは、実際の会議の会話やチャット履歴が学習に使われるのかという点です。

反発を受けたZoomは公式ブログで補足を行い、「ユーザーの同意なしに、音声、動画、チャットのコンテンツをAI学習に使用することはない」と釈明しました。

ただし、この「同意なしに」という表現がポイントです。Zoomは6月に、会議の要約やチャットの下書きを作成する生成AI機能を無料トライアルとして公開しました。利用するかどうかはユーザー自身が選べます。

しかし、これらのAI機能を有効化する際には同意画面が表示され、機能向上を目的とした顧客コンテンツの提供に同意することが求められます。つまり、AIによる利便性を享受したいなら、自らの会議内容を学習データとして差し出す設計になっています。

なぜ重要か

今回の動きは、AI企業が直面している深刻な「学習データ不足」の縮図と言えます。ネット上のデータを無断収集した生成AIが著作権訴訟に追われるなか、SaaSプラットフォームが保有するリアルな業務データは最も価値のある資源になりつつあります。

Zoomのアプローチは、テレメトリデータを不可避としつつ、便利なAI要約ツールを餌にして実コンテンツの学習許諾を取り付けるという、狡猾とも言える戦略です。しかし、顧客との信頼関係という観点では極めて危うい賭けに見えます。

企業の法務やセキュリティ担当者にとっては、無料の会議要約機能が重大な情報流出リスクへと直結しかねません。機密情報を日常的に扱うビジネスパーソンであれば、今すぐ社内の管理コンソールを確認し、生成AI機能が不用意にオンになっていないか見直す価値があります。

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