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AIモデル

Z.aiが「GLM-5.3-Flash」公開:320Bマルチモーダルを10分の1の低コストで提供

公開 拡散指数 58

Z.aiはマルチモーダルモデル「GLM-5.3-Flash」を発表した。総パラメータ数320Bのうちアクティブは18Bにとどまり、タスクあたり0.045ドルと同等モデルの10分の1の価格を実現。コーディングやエージェント性能で前代を大きく上回り、中国製AIチップ上で完全稼働する。

Z.aiが「GLM-5.3-Flash」公開:320Bマルチモーダルを10分の1の低コストで提供
画像:marktechpost.com

OpenCode や OpenRouter 上で「Ox Alpha」という仮名でテストされていた謎のモデルの正体が明らかになりました。

Z.ai は同社初となるネイティブマルチモーダルモデル「GLM-5.3-Flash」を発表しました。総パラメータ数 320B に対し、1 トークンあたりのアクティブパラメータはわずか 18B という MoE(Mixture of Experts)構成を採用。100 万トークンの巨大なコンテキスト長、画像および動画入力に対応し、Hugging Face 上で MIT ライセンスとして重みが公開されています。API の利用価格は、同等性能のモデルと比べて約 10 分の 1 に設定されています。

100 万トークンを高速・低コストで処理する仕組み

100 万トークンという長大なコンテキストを低コストで扱うため、GLM-5.3-Flash は 30 兆トークンのマルチモーダルコーパスから新たに学習され、アーキテクチャ面で 3 つの大きな工夫が施されています。

まず採用されたのがハイブリッドアテンションです。45 層の言語モデルにおいて、局所的な依存関係を処理する KDA 線形アテンション層と、大域的なコンテキストを検索する NoPE スパース MLA アテンション層を交互に配置。各トークンは 288 人のエキスパートのうち 8 人にルーティングされます。さらに「IndexPool」技術により、検索キーベクトルをプールして圧縮することで、GLM-5.3 比でアテンション計算量を約 3 分の 1 に抑え、KV キャッシュを 4.4 分の 1 に削減しました。また、mHC(多様体拘束ハイパーコネクション)により、同等パラメータの旧世代モデルと比べてアクティブパラメータと層数をほぼ半減させています。

ベンチマークにおいて、コーディング評価の DeepSWE v1.1 では GLM-5.2 の 46.2 を大幅に上回る 63.4 を記録し、Terminal-Bench 2.1 でも 84.3 に達するなど、Claude Opus 4.8 に迫る数値を叩き出しています。興味深い点として、匿名のプレビュー期間中、このモデルはすべて中国国産 AI チップ上で稼働し、SGLang をベースにした独自エンジンによって数万枚規模のアクセラレータ上で 3 倍のスループット向上を実現したとされています。

格安な API と高めのセルフホスト要件

MIT ライセンスでオープンソース化されたものの、自前で環境を構築するハードルは低くありません。デフォルトの FP8 チェックポイントは KV キャッシュ抜きで約 306 GiB あり、現時点で vLLM を用いた動作環境は NVIDIA Hopper 世代以降に限られます。そのため、自社ホストが現実的なのは 8GPU ノードや GB200 システムを保有する中堅・大手企業などに限られ、多くのチームにとってはクラウド API の利用が主軸になります。

API の価格設定は、入力 100 万トークンあたり 0.15 ドル(キャッシュ時は 0.03 ドル)、出力 0.50 ドルと極めて安価です。第三者機関の Artificial Analysis によると、インテリジェンス指数は 57 を記録し、タスクあたり 0.045 ドルという高い費用対効果を示しています。ただし、出力速度は毎秒 48.7 トークン、初回トークン生成時間(TTFT)は 1.52 秒と、やや低速で冗長な傾向が指摘されています。また、画像理解などのビジョン性能では Gemini 3.7 Flash に一歩及ばない結果となっています。

なぜ重要か

開発者やエンジニアリングチームにとって、最大級の恩恵は「高価すぎて躊躇していた重いエージェントワークフローを日常的に回せるようになる点」です。リポジトリ全体を読み込ませるコーディングエージェントや、数百万行のログ解析、ブラウザ自動操作などは、従来のフラッグシップモデルでは莫大なコストがかかっていました。この水準のコーディング知能が 10 分の 1 のコストで手に入るなら、今すぐ試す価値は十分にあります。

Z.ai のアプローチは、非常に合理的かつ実践的だと評価できます。純粋なパラメータ規模の競争に挑むのではなく、ハイブリッドアテンションやキー圧縮を組み合わせて「実用的な運用コスト」を極限まで引き下げました。さらに、自国製ハードウェアと最適化エンジンを組み合わせることで、制約のあるインフラ上でも高いパフォーマンスを出せることを実証してみせました。

一方で、画像認識タスクでは競合に劣るため、高度なマルチモーダル処理が必要な現場では依然として Gemini などの併用が必要です。それでも、実務の大半を占めるソフトウェア開発や長文テキスト解析において、この圧倒的なコスト破壊力は、競合他社の価格戦略にも大きな圧力をかけることになります。

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