YouTube新CEO、生成AIツールの年内導入を予告:衣装や背景の仮想変更が可能に
YouTubeの新CEO Neal Mohan氏はクリエイター向け生成AIツールを開発中だと明かしました。AIによる衣装の仮想着せ替えや空想的な背景生成が可能になる見込みで、今後数カ月以内に提供予定です。責任ある安全策とともにクリエイター支援を進めます。

動画クリエイターにとって、撮影場所の確保や衣装の準備は常に頭の痛いコスト要因です。YouTubeは、その面倒な作業を生成AIに肩代わりさせようとしています。
先月退任したスーザン・ウォジスキ氏の後を継ぎ、YouTubeの新CEOに就任したニール・モーハン氏が、就任後初となるクリエイターコミュニティ向けの手紙を公開しました。その中で同氏は、クリエイター向けの生成AIツールを開発中であることを明らかにしました。
衣装チェンジや映画のような背景をAIで生成
モーハン氏によると、準備中の生成AI機能を使えば、クリエイターは仮想的に衣装を着替えたり、幻想的な映画のセットのような背景を一瞬で生成したりできるようになります。
ツールの詳しい仕様や仕組みはまだ明かされていませんが、今後数カ月のうちにクリエイターへ向けて段階的に提供される見込みです。責任ある利用を確保するための慎重なガードレールもあわせて用意するとしています。
OpenAIのChatGPTやDALL-Eの普及以降、学習データの著作権侵害リスクなど倫理面での議論が活発化しています。モーハン氏も、AIがもたらす創造の機会と責任ある管理のバランスが重要だと強調しました。
手紙ではAI以外にもいくつかのアップデートが予告されました。ショート動画にはTikTokのDuetやInstagramのRemixに似た並列撮影機能が年内に追加される予定です。また、NFL Sunday Ticketの独占配信を控えるYouTube TVには、複数の試合を同時に視聴できるマルチ画面機能が年内に導入されます。
広告減収と規制の逆風の中でバトンタッチ
9年間にわたりトップを務めた前CEOの後を引き継いだモーハン氏ですが、船出は決して平坦ではありません。
親会社Alphabetの決算によると、直近のホリデー四半期におけるYouTubeの広告収入は前年同期比で8パーセント落ち込みました。さらにここ数週間、不適切な表現や下品な言葉遣いに対する取り締まり基準が曖昧で厳しすぎるとして、クリエイターからの反発も強まっています。
広告主の意向とクリエイターの不満の間でバランスを取ることはYouTubeトップの永遠の課題ですが、モーハン氏はまずAIという未来の切り札を提示した形です。
なぜ重要か
クリエイターにとって、衣装の着せ替えや背景生成が手軽に使えるようになれば、小規模な制作体制でも一気に動画のクオリティを引き上げられる可能性があります。特に個人配信者やショート動画の制作者には朗報ですが、現時点では仕様も実機のデモも公開されておらず、今すぐ試せる段階ではありません。まずは今後数カ月の正式提供を待つのが賢明です。
業界全体から見れば、YouTubeはTikTokとのショート動画競争に追われつつ、OpenAIに端を発する生成AIブームでも出遅れを許されない立場にあります。クリエイターエコノミーの最大手として、AIを制作支援の武器として組み込む姿勢を早く示す必要がありました。
今回の発表は、広告収入の低迷や規約変更への批判から世間の目を前向きな技術革新へとそらす巧みな一手に見えます。ただし、生成AIの学習データと著作権の問題は避けて通れません。モーハン氏が強調する安全対策が、どこまで現場のクリエイターや権利者の納得を得られる実用的なものになるかが、今後の成否を分けることになりそうです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com