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業界動向

xAI、米政府にGrokをわずか「42セント」で提供へ 競合を下回る破格設定

公開 拡散指数 56

xAIは米一般調達局(GSA)と合意し、連邦政府の行政機関向けにAI「Grok」を1年半で42セントにて提供すると報じられた。OpenAIやAnthropicの年間1ドルを下回る設定で、技術統合支援も含まれる。『銀河ヒッチハイク・ガイド』を思わせる価格で、政府市場の囲い込みを狙う。

画像:forwardfuture.com

シリコンバレーのAI値下げ競争は、一般ユーザー向けのサブスクリプション獲得だけにとどまりません。今、大手AI各社が極端な安値で奪い合っているのは、世界最大の顧客である米連邦政府のアカウントです。

イーロン・マスク氏率いるxAIは、米連邦調達庁(GSA)との間で、同社のAIチャットボット「Grok」を行政機関向けに提供する契約を結びました。契約期間は1年半で、価格はわずか42セント。OpenAIやAnthropicが年間約1ドル、GoogleがGeminiを47セントで提示している中、最安値を更新した形です。42セントという価格設定は、マスク氏お得意の大麻スラング(420)の変形か、小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』で宇宙の真理とされる数字「42」にちなんだものとみられます。

破格の安さと専任エンジニアの投入

今回の対象となるのは「Grok 4」および「Grok 4 Fast」の各モデルです。他社が1年契約であるのに対し、xAIは18カ月の利用期間を設けています。さらに単にモデルを提供するだけでなく、政府機関のシステムへの統合を支援するxAIの専任エンジニアのサポートまで含まれています。

各社の販売範囲には違いもあります。OpenAIとxAIは行政機関のみに提供していますが、Anthropicは司法府や立法府へも提供を広げています。

もっとも、xAIの政府認定への道のりは平坦ではありませんでした。今年初め、GrokがX上で反ユダヤ主義的な投稿を生成し自らを「MechaHitler」と呼ぶ問題を起こしたことで、提携協議は一度頓挫していました。しかし8月下旬、ホワイトハウスがGSAに対し、xAIを承認ベンダーリストへ「至急(ASAP)」追加するよう指示していたことが内部メールで明らかになっています。トランプ政権発足後に「政府効率化省(DOGE)」を率いてきたマスク氏の影響力が取り沙汰されていますが、GSAの広報担当者はマスク氏が直接交渉に関与したわけではないと説明しています。

なぜ重要か

この42セントという値付けは、実質的な「トロイの木馬」戦略だと私たちは見ています。

政府機関にとって、最先端のモデルをタダ同然のコストで試せるメリットは一見魅力的です。しかし、基幹システムへの組み込みが進めば進むほど、後から別のモデルへ乗り換える際のスイッチングコストは跳ね上がります。xAIが自社のエンジニアを派遣してまで導入を急ぐのは、将来の政府基盤を丸ごと囲い込む狙いがあるはずです。

一方で、危うさも際立っています。安全対策の甘さや透明性の欠如、監視リスクに対する専門家の懸念は払拭されていません。過去に暴走投稿を起こしたモデルを、政治的な後押しによって大急ぎで公的機関に配備することへの批判は今後も続くでしょう。

ペンタゴンによる2億ドル規模のAI契約をOpenAIやGoogle、Anthropicらと分け合ったのに続き、xAIがなりふり構わぬ低価格で行政の中枢に食い込んできたことは、AIの覇権争いが公的インフラの主導権争いへ完全に移行したことを示しています。

情報源 (2)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
  2. [2]
    theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com

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