WordPress、ブラウザ完結の個人環境「my.WordPress.net」公開:AIがプラグイン改変
WordPressはサーバーや登録が不要でブラウザ上で永続的に動作する「my.WordPress.net」を公開した。データはローカルに保存され、初期容量は約100MB。AIアシスタントがプラグインを改変できるワークスペースや個人向けCRMが1クリックで導入できる。

WordPressを始めるとなれば、かつてはサーバーを契約し、ドメインを設定する「有名ながら面倒な初期設定」がつきものでした。これからは、ブラウザで指定のURLを開くだけで済みます。
WordPressは、ブラウザ上だけで完全に動作する新サービス「my.WordPress.net」を公開しました。アカウント登録もホスティング契約もドメイン取得も不要で、アクセスした瞬間に使い始めることができます。
ブラウザの中に居座る完全プライベート空間
基盤となっているのは、WebAssemblyなどを活用してブラウザ内でWordPressを動かすWordPress Playground技術です。これまでは一時的なデモ用途が中心でしたが、今回はブラウザのローカルストレージを利用することで、タブを閉じてもデータが保持される永続的な環境に進化しました。
ただし、通常のWebサイトとは大きく異なります。作成されるサイトは標準で完全非公開となっており、外部のインターネットからは一切アクセスできません。アクセス数や見栄えを気にする必要はなく、思考の整理や下書きのための個人的な空間として設計されています。
利用にあたって知っておくべき制約もあります。初期ストレージ容量は約100MBで、初回起動時は初期化データの読み込みに少し時間がかかります。データは完全にブラウザ内に保存されるため、デバイス間での同期はできず、キャッシュを消去するとデータが失われるリスクがあるため定期的なバックアップが必要です。なお、後から一般公開用の通常サーバーへ移行することは可能です。
さらに、ワンクリックで導入できる「App Catalog」も用意されています。連絡先の管理ややりとりのパターンを分析できる個人用CRM、Friendsプラグインを使った広告やアルゴリズムのないRSSリーダー、AIを活用したワークスペースなどが揃っています。特にAIアシスタント機能では、安全なローカル環境を活かしてプラグインのコードを書き換えさせたり、保存したメモをナレッジとして参照させたりできます。
なぜ重要か
WordPressが「Webサイト公開ツール」から「個人向けローカルOS」へと守備範囲を広げようとしている点が極めて興味深い動きです。
ユーザー視点では、実験や学習のハードルがほぼゼロになりました。ローカル開発環境を作る手間もサーバー代もかからず、プラグインの動作検証やプログラミングの練習がブラウザひとつで完結します。壊れたらリセットボタンを押すだけでやり直せます。
業界全体で見れば、NotionやObsidianといったローカルファーストなノートアプリやパーソナルツールに対する、オープンソース陣営からのユニークな対抗策と言えます。AIが自由に拡張機能を書き換えられる仕組みを備えたことで、自分専用の作業空間を柔軟に仕立て直せる強みがあります。
とはいえ、約100MBという容量の小ささや、ブラウザのデータ消去で消えてしまう脆さは依然として大きな課題です。複数端末での同期手段が整わない限り、実用的なメインツールというよりは、開発者や愛好家向けの実験場にとどまる可能性が高そうです。
情報源 (2)
- wordpress.org(新しいタブで開きます)原文wordpress.org
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com