本文へスキップ
IFAI

業界動向

ウィンブルドン選手権、IBMと提携しハイライト動画にAI音声解説を導入

公開 拡散指数 36

オールイングランド・クラブはIBMと提携し、今年のウィンブルドン選手権のハイライト動画にAIによる音声解説と字幕を導入すると発表した。IBMのwatsonxを活用し、追跡データからテニス特有の語彙を用いた解説を生成する。公式アプリとウェブサイトで提供される。

ウィンブルドン選手権、IBMと提携しハイライト動画にAI音声解説を導入
画像:theguardian.com

ウィンブルドン選手権に、ついに本格的なAI実況が導入されることになりました。

オールイングランド・クラブはIBMと提携し、今年の大会の公式ハイライト動画向けに、AIが自動生成する音声解説と字幕を提供すると発表しました。

この機能は、7月3日から16日にかけて開催される大会期間中、公式アプリとウェブサイトで利用できます。なお、英BBCによる従来のテレビ生中継とは完全に切り離された形で運用されます。

テニス特有の専門用語をAIに学習

今回のシステムには、IBMのAI基盤であるwatsonxが採用されています。テニス独特の言い回しや専門用語を自然に扱えるよう、オールイングランド・クラブの協力のもとでチューニングが行われました。

仕組みとしては、コート周囲に配置された各種センサーから、ボールの軌道や選手の動き、コートのどの位置からどんなショットを放ったかといった詳細データをリアルタイムで収集します。

集まったデータをAIモデルが解析し、まずはチャットボット型のシステムが自然な解説テキストを作成します。その後、音声合成技術を使ってほぼリアルタイムで実況音声へと変換する流れです。

さらに今年は、シングルスの組み合わせをAIで分析する新機能も提供されます。各選手が決勝まで勝ち進む難易度を評価し、世界ランキングだけでは見えてこない波乱の可能性をファンに提示します。

なぜ重要か

一般のファンにとって最大の恩恵は、これまで実況がつかなかった下位コートの試合でも、解説付きで手軽にハイライトを楽しめるようになる点です。

四大大会の序盤はコート数が多く、すべての中継に人間の解説者を配置するのはコスト的にも人員的にも不可能でした。AIがその隙間を埋めることで、マイナーな対戦カードの映像体験が大きく底上げされます。

私たちは、いきなり生放送に投入せず、まずはハイライト動画から導入した判断は非常に手堅く賢明だと考えています。仮に言い間違いが発生しても影響範囲を抑えられますし、現場の制作負担を確実に減らせるからです。

欧州放送連合も先日、解説者ハンナ・イングランド氏の音声を複製したAI実況を発表したばかりで、スポーツ界での音声AI活用は確実に加速しています。

一方で課題もあります。テニスの醍醐味は、マッチポイントでの張り詰めた空気感や選手の感情の揺れにあります。速度やコースといった客観的データを読み上げるだけでは伝わらないドラマを、AIがどこまで表現できるかはまだ未知数です。

情報源 (1)

  1. [1]
    theguardian.com(新しいタブで開きます)原文theguardian.com

毎日のAIピックアップ