米ホワイトハウスが「AI行動計画」を公表:規制緩和とインフラ加速へ90以上の提言
米ホワイトハウスは90以上の提言を盛り込んだ「AI行動計画」を公表した。規制の障壁を取り払って技術革新を加速させ、データセンターや半導体工場の許認可手続きを迅速化する方針だ。一方、環境への影響やプライバシー保護が軽視されるリスクを懸念する指摘も出ている。

テクノロジー企業にとって、AI開発の最大の障壁はモデルの設計そのものよりも、データセンターの建設認可待ちや送電網への接続遅延、各自治体による規制の乱立になりつつあります。こうした中、米ホワイトハウスが事態の打開に向けた包括的な方針を打ち出しました。
ホワイトハウスは、連邦政府のAIへの向き合い方について90項目以上の提言をまとめた政策文書「AIアクションプラン」を公表しました。ドナルド・トランプ米大統領は、この提言に沿った複数の大統領令に署名する見込みです。文書では、米国が他国よりも迅速かつ包括的に技術革新を進めるため、民間企業の妨げとなっている不要な規制の壁を撤廃すべきだと主張しています。
調達サンドボックスと「イデオロギー排除」
提言の柱の一つが、連邦政府機関によるAI調達プロセスの刷新です。ホワイトハウスは「AI調達サンドボックス」と呼ばれるアルゴリズムのカタログのような仕組みを提案しており、各機関が必要に応じて複数のモデルを速やかに導入・カスタマイズできるようにすることを目指しています。
特に大規模言語モデル(LLM)に関しては、上意下達のイデオロギー的な偏向がなく客観的であることを保証したベンダーからのみ購入を認める方針を掲げました。また、研究者への計算資源やデータ提供を拡大するほか、企業と研究者が連携できる「AIセンター・オブ・エクセレンス」の創設も盛り込まれています。
データセンター認可の迅速化と規制緩和
もう一つの大きな柱は、物理的なインフラ整備の加速です。データセンターの建設許可手続きを簡素化する方針で、環境アセスメントの審査自体にAIを活用して期間を短縮することまで提案しています。
膨大な電力需要に対応するため、安定した電源の迅速な送電網接続や送電網自体の改修を急ぐほか、CHIPS法に基づく半導体製造支援に付随する不要な政策要件も撤廃する方針です。さらに、連邦通信委員会(FCC)が州レベルの独自AI規制の精査に乗り出すなど、規制緩和を一気に進める構えです。これに対し、調査会社IDCのシニアバイスプレジデントであるマット・イーストマン氏は、規制緩和は企業に歓迎される一方で、プライバシーや雇用、環境への懸念を過小評価するリスクがあり、州法への介入は法的闘争を招く可能性があると指摘しています。
なぜ重要か
インフラ事業者や半導体メーカーにとって、送電網接続や認可手続きの簡素化は、計算資源不足を解消する上で極めて直接的なメリットがあります。一方で、政府向け調達を狙うLLM開発企業にとっては、「イデオロギー的偏向がないこと」の証明が新たな参入ハードルになり得ます。
AIを使ってアセスメント審査を早める手法などは合理的でスピード重視の姿勢が伺えます。しかし、私たちは、州独自の規制を連邦主導で抑え込もうとするアプローチにはリスクが伴うと考えています。プライバシーや労働環境への配慮が置き去りにされれば市民団体の反発は避けられず、法廷闘争によってかえって企業の事業見通しが不透明になる可能性も残されています。
情報源 (1)
- siliconangle.com(新しいタブで開きます)原文siliconangle.com