RedditやYahooが新規格「RSL」を支持、AIデータ収集の有料化へ
Reddit、Yahoo、Mediumなどの大手メディアが新たなライセンス規格「RSL」への支持を表明した。robots.txtを拡張し、クローリングや推論利用に応じた課金条件を明記できるようにする。ただ、実際に機能するかどうかはAI企業側がルールを受け入れるかにかかっている。

AIクローラーへの対策といえば、robots.txtで完全にアクセスを遮断するか、OpenAIなどの巨大企業と個別に巨額のライセンス契約を結ぶかの二者択一になりがちでした。中小規模のメディアや個人クリエイターには、交渉の余地すら与えられていません。
こうした状況を打破するため、RSSの生みの親たちが新たな対抗策を打ち出しました。
Reddit、Yahoo、Medium、Quora、wikiHowなどの米大手Webメディアは9月10日、AI企業に向けたオープンなコンテンツライセンス規格「Really Simple Licensing(RSL)」への支持を表明しました。AIによるデータ収集に対し、対価の支払いを求める共通ルールをWeb全体に広げる狙いです。
robots.txtにライセンス条件を直接埋め込む
推進組織であるRSL Collectiveを率いるのは、RSSの共同開発者であるエッカート・ウォルサー氏と、IAC Publishing元CEOのダグ・リーズ氏です。
RSLは、従来のrobots.txtプロトコルを拡張する形で機能します。単にボットの巡回を許可または拒否するだけでなく、利用規約やロイヤルティ条件をファイル内に直接記述できるようになります。
料金形態は柔軟に設定できます。月額などのサブスクリプション制をはじめ、AIボットが巡回するたびに課金する「クロール単位払い」、さらにはAIが回答を生成する際にコンテンツを参照した時点で対価が発生する「推論単位払い」も用意されています。なお、検索エンジンのインデックスやアーカイブ収集など、従来の目的によるボット巡回には影響しません。
強制力を持たせるため、RSLはCDN大手のFastlyと連携しています。RSLが利用許可証を発行し、FastlyがWebサイトの玄関口で門番として機能し、ライセンスに合意していないAIボットのアクセスを遮断する仕組みです。
音楽業界に学ぶ集団訴訟モデル
技術的な防御だけでなく、法的な執行力も視野に入れています。RSL Collectiveは米音楽著作権管理団体ASCAPのような組織を目指しており、会員全体で権利侵害への法的対抗費用を分担します。
大手メディアがまとまって加盟することで、AI企業に対して「一度に全員と正規交渉するか、あるいは一度に全員の権利を侵害して訴訟リスクを負うか」という圧力をかける戦略です。O’ReillyやIGNを傘下に持つZiff Davisもすでに対応を表明しています。
なぜ重要か
私たちは、まったく新しい技術基盤を作るのではなく、長年普及しているrobots.txtとCDNの仕組みに乗っかったアプローチを非常に賢い選択だと考えています。個別交渉の力を持たない中小サイトにとって、共通規格でAIから収益を得る道筋が開ける可能性があるからです。
とはいえ、現時点で実効性には小さくない疑問符がつきます。特に「推論ごとの課金」は、AIモデルの開発企業側が誠実にログを開示しなければ計算しようがありません。
さらに、多くのAI開発企業はすでにrobots.txtを平然と無視してクローリングを強行していると指摘されています。音楽著作権と異なり、AI学習におけるデータ利用が著作権侵害にあたるかどうかは法的な決着がついていません。Fastly以外のCDNへの普及が進み、法廷での明確な司法判断が下されるまでは、巨大テック企業を正規契約のテーブルに着かせるのは容易ではないと見られます。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com