米戦争省、OpenAIやGoogleなど8社と機密ネットワーク向けAI導入で合意
米戦争省は金曜日、OpenAI、Google、マイクロソフト、NVIDIAなど8社と合意を結び、IL6およびIL7の機密ネットワーク上に最先端AIを展開すると発表した。「AIファースト」の部隊構築を目指すもので、特定ベンダーへの依存を防ぐ設計を採用している。

かつて米テック大手と軍の契約といえば、社内での抗議活動や反発が付きものでした。しかし、その潮目は完全に変わり、各社はいまや自社の最先端モデルを最高機密ネットワークへ持ち込む契約を競い合っています。
米国戦争省は5月1日、OpenAI、Google、Microsoft、AWS、Oracle、NVIDIA、SpaceX、Reflection AIの8社と協定を締結したと発表しました。合衆国軍の機密ネットワークであるインパクトレベル6(IL6)およびインパクトレベル7(IL7)環境において、認可された作戦運用のために最先端AI技術とハードウェアを配備します。
IL6やIL7は、国家安全保障に関わる重要データを扱うための極めて厳格なセキュリティ区分です。物理的な隔離や厳正なアクセス管理が義務付けられており、軍はこれらを利用してデータの統合分析を迅速化し、前線での意思決定を支援する狙いです。
アンソロピックとの対立と脱ベンダーロックイン
この大規模な一括提携の背景には、軍と特定ベンダーとの摩擦があります。TechCrunchによると、軍は以前、モデルの利用規約をめぐってAnthropicと激しく対立していました。軍が無制限の利用を求めたのに対し、同社は自律兵器や国内監視への転用を防ぐガードレールを譲りませんでした。
両者は現在も法廷で争っており、3月にはAnthropic側がサプライチェーンリスク指定を阻止する仮処分を勝ち取っています。こうした経緯を受け、国防関係者は特定企業への依存を避けるアーキテクチャの構築を急いでおり、複数社との同時提携に踏み切りました。
インフラ側も準備を進めています。Oracleの幹部Kim Lynch氏によると、同社は米政府向けに10の専用クラウジョンを運用しており、最高機密や特別アクセスプログラムを含む環境に対応しているとアピールしています。
すでに130万人が日常業務でAIを活用
実のところ、米軍内での生成AI普及スピードは凄まじいものがあります。昨年12月に導入された非機密向け統合プラットフォーム「GenAI.mil」は、わずか5か月で130万人以上のユーザーを獲得しました。
この基盤上ではすでに数千万件のプロンプトが処理され、数十万個のAIエージェントが配備されています。当初はGoogleのGeminiを採用し、その後xAIやChatGPTを追加。空軍、宇宙軍、海兵隊、海軍が次々と標準採用を決めています。今回の協定は、この利用実績をそのまま実戦的な機密環境へと拡張する動きと言えます。
なぜ重要か
私たちは、この動きが「最先端AIの実戦配備」における決定的な転換点になると考えています。倫理や安全性を理由に軍事協力を躊躇する時代は終わり、防衛予算を取り込むことがAI各社の生存戦略の一部になってきました。
軍の戦略は極めて現実的です。8社を競わせることで、Anthropicのように厳しい利用制約を課す企業を排除し、自前の裁量を確保できます。代替手段がいくらでもある状態を作られた以上、民間AIラボが軍に対して独自の利用ルールを押し通すことは今後難しくなるでしょう。
一方で懸念も残ります。日常の事務作業を支援するGenAI.milと異なり、IL6やIL7での運用は直接作戦判断に関わります。ハルシネーション(もっともらしい嘘)を完全に排除できない現代のLLMを、物理的な破壊を伴う高秘匿環境の意思決定にどこまで委ねてよいのか、そのリスク管理は依然として未知数です。
情報源 (3)
- war.gov(新しいタブで開きます)原文war.gov
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com
- executivegov.com(新しいタブで開きます)報道executivegov.com