Vimeo、OpenAI活用のAI台本生成や「不要な間」を消すテキスト編集を発表
Vimeoは有料プラン向けにAI動画制作ツールの導入を発表した。OpenAIの技術を使って数秒で動画台本を作成できるほか、プロンプター機能や、録画内の言い淀みや不要な沈黙をワンクリックで削除できるテキスト編集を備える。7月中に月額20ドル以上のプラン向けに提供される。

社内向けの短いアナウンス動画を撮るためだけに、何度も言い淀んでテイクを重ねた経験がある人なら、動画制作の面倒さは身に染みているはずです。
動画配信プラットフォームのVimeoは6月20日、有料会員向けにAIを活用した動画制作支援ツールの提供を発表しました。数分で完成度の高い動画を作れるとうたい、企業の社内会議やマーケティング用途を想定しています。
これらの機能は7月中に、月額20ドルからのStandardプラン以上のユーザー向けに提供が開始される予定です。
台本作成から不要な間のカットまで
今回発表されたのは、動画制作の流れを一通りカバーする3つのツールです。
1つ目はAIによる台本生成ツールです。短い概要や希望するトーン、長さを指定するだけで、動画用のスクリプトを自動作成します。Vimeoの最高製品責任者(CPO)であるAshraf Alkarmi氏によると、この機能の基盤にはOpenAIの技術が使われていますが、具体的なモデル名は明かされていません。
2つ目はプロンプター機能です。これ自体にAIは使われていませんが、読む速度に合わせたスクロールや文字サイズの調整が画面上で手軽に行えます。
3つ目はテキストベースの動画編集ツールです。録画した音声から文字起こしを行い、言い淀みや「えー」「あの」といった口癖、不自然に長い沈黙を自動で検出します。ユーザーはワンクリックでそれらの箇所を映像ごと削除できます。
クリエイター向けから企業向けへのシフト
かつてのVimeoは、クリエイティブな作品を集めてYouTubeに対抗するプラットフォームとして知られていましたが、現在は企業向けの動画基盤へと明確に軸足を移しています。
今回のツール群も、ハイライト動画の作成やバーチャルイベントの記録、SNS向けの短い引用動画の書き出しなどを想定しています。動画の保存や配信だけでなく、制作工程まで自社サービスで完結させる狙いです。
ただし、生成される台本の質には懸念もあります。自社の新製品などの詳細情報を持たないAIが書くスクリプトは、ありきたりな宣伝文句にとどまる可能性が高く、手動での修正が欠かせない場面も多そうです。
なお、Alkarmi氏は現時点でユーザーが投稿した動画を生成AIモデルの学習に使用していないと説明しており、企業データの取り扱いには一定の配慮を見せています。
なぜ重要か
動画編集の専門スキルを持たない一般的なビジネスパーソンにとって、このアップデートは実用的な価値があります。特にテキスト編集感覚で口癖や沈黙を一括削除できる機能は、撮影の手間を大きく減らしてくれます。月額20ドルからという価格設定も、業務効率化の投資としては比較的手が届きやすい水準です。
当社としては、Vimeoが派手な完全自動生成動画に飛びつくのではなく、人間がカメラの前で話す際のボトルネックを解消することに注力した点を評価しています。
一方で、テキストベースの動画編集自体はDescriptなどの先行ツールがすでに洗練された形で提供しており、技術的な新規性は高くありません。また、OpenAIベースの台本生成が企業の文脈をどこまで汲み取れるかも未知数です。
結局のところ、Vimeoの強みは技術の独自性というより、すでに社内動画の保管庫として同社を利用している企業が、外部ツールを行き来せずに制作まで完結できるワークフローの統合にあると言えそうです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com