米特許商標庁、意匠特許の先行技術調査にAI画像検索を導入へ
米特許商標庁(USPTO)は意匠特許の先行技術調査向けAI画像検索ツールを2025年10月1日に導入すると発表した。審査官があらゆる分野の先行技術を引用できる新基準に対応するもので、AIにより調査網が広がり、意匠特許の登録基準は一段と厳しくなる見込みだ。
工業デザインの特許出願において、同業他社に似た製品がなければ通るという時代は終わりを告げようとしています。
米国特許商標庁(USPTO)は、意匠特許を対象としたAI活用の画像ベース先行技術調査ツールを、2026会計年度の初日となる2025年10月1日に導入すると発表しました。審査官向けの研修は今月から始まり、近いうちに公式な通知も出される見通しです。
審査官の手元に加わる画像検索エンジン
これまでの意匠調査は、分類コードやテキストでの検索、あるいは手作業での画像確認が中心でした。そのため、異分野のプロダクトに存在する似た形状まで見つけ出すのは至難の業でした。
新たに導入されるAIツールは、デザインの画像を直接照合し、膨大なビジュアルデータの中から類似した輪郭や形状を持つ先行技術を自動で検出します。
このツールの投入は、最近下された重要な司法判断と密接に連動しています。
あらゆる産業分野が比較対象になる
今回の動きの背景には、LKQ対GMの重要判例があります。この判決により、審査官は出願分野に限らず、あらゆる産業分野の先行技術を引用できるようになりました。
判決によって基準が広がっても、人手だけでは他業界のデザインを網羅するのは不可能でした。しかしAI画像検索が加われば、審査官は容易に他分野の類似デザインを掘り起こせます。
結果として、審査官が手にする先行技術の範囲は飛躍的に広がり、新規性や非自明性のハードルは大きく引き上げられます。出願の拒絶リスクが高まり、設計変更を余儀なくされるケースが増えるのは避けられません。
なぜ重要か
今回のツール導入は、米国で意匠権を取得しようとするすべての製造業者やデザイナーにとって、実務の抜本的な見直しを迫るものだと考えられます。
これまでのように出願してから審査官の指摘を待つやり方は通用しなくなります。出願前の段階で、業界の垣根を越えた画像ベースの網羅的な先行技術調査を自ら行う必要があり、AI検索と現行実務の双方に精通した代理人との連携が欠かせなくなります。
USPTOの視点で見れば、司法判例が求めた広範な調査義務をテクノロジーで現場に落とし込む合理的な施策です。他業界の形状を少しアレンジしただけの安易な意匠を排除し、権利の質を高める効果が期待できます。
一方で懸念されるのは、AI特有の過剰反応です。画像AIが形式的な形状の類似にとらわれ、本来なら認められるべきデザインまで拒絶してしまうリスクがあります。出願実務に関わる担当者は、近々開催される説明会などを通じてツールの運用基準を正確に見極める必要があります。
情報源 (1)
- natlawreview.com(新しいタブで開きます)原文natlawreview.com