UPS、AIで置き配盗難を防ぐ「DeliveryDefense」を展開へ
米物流大手 UPS 傘下の UPS Capital は、AI で配達先住所の盗難リスクを判定する「DeliveryDefense」の展開を発表した。過去の配送データから安全性を 1 から 1000 点でスコアリングし、危険な住所には店頭受取などを提案できる。10 月 18 日には中小企業向けウェブ版も月額 99 ドルから提供される。

玄関先に置かれた荷物を持ち去る「置き配泥棒」が米国で深刻化しています。調査によれば、防犯カメラを見ても顔を隠そうとする窃盗犯はわずか 5% 程度で、カメラ自体に抑止力はほとんどありません。
そこで大手物流の UPS は、荷物を発送する前に AI で盗難リスクを予測する新サービスに乗り出しました。
住所ごとの安全度を 1000 点満点で採点
UPS 傘下の UPS Capital が展開する「DeliveryDefense」は、機械学習を活用した盗難リスク評価システムです。
過去 2 年間に蓄積された数十億件の配送データを分析し、米国内の配送先住所に対して 1 から 1000 までの「配送信頼度スコア」を算出します。
1000 点に近い住所は無事に届く可能性が極めて高く、100 点前後の住所は紛失や盗難のリスクが高いと判定されます。個人情報ではなく、施錠可能な郵便受けや管理体制があるかといった物理的な配達環境を評価していると UPS は説明しています。
送る前にリスクを回避する仕組み
このシステムは通販事業者向けに提供されます。大企業向けの API は月額 3000 ドルからで、コストコなどで実証実験が行われました。中小事業者向けには月額 99 ドルからの Web 版が年末商戦に合わせて投入されています。
もし注文者の住所が低スコアと判定された場合、事業者は発送前にMichaels や CVS といった提携店舗での受け取りを案内したり、対面サインや追加保険を付帯させたりできます。
アマゾンがガレージ内配送を進め、DHL が対面受領を徹底するなか、事前のデータ分析で荷物の置き去りを防ぐアプローチは独特です。
なぜ重要か
カメラなどのハードウェアによる威嚇が効かない現状において、盗難を「事前予測」で防ぐという UPS の発想は極めて合理的だと考えます。
高価格帯の家電や衣料品を扱う事業者にとって、月額 99 ドルで未着トラブルや再送コストを削れるなら費用対効果は高いはずです。
一方で一般の消費者から見れば、集合住宅に住んでいるだけで住所が「低スコア」に分類され、置き配の利便性を奪われる可能性があります。
さらに、特定エリア全体のスコアが低く算出され続ければ、アルゴリズムによる地域差別だと批判を招くリスクも抱えています。利便性と公平性のバランスが今後の普及の鍵になりそうです。
情報源 (1)
- cnbc.com(新しいタブで開きます)原文cnbc.com