Unity、AI制作支援「Muse」と端末推論「Sentis」を発表
UnityはAIプラットフォーム「Unity Muse」と「Unity Sentis」を発表した。Museはチャットやテキスト指示による素材生成を支援し、Sentisは端末上で直接ニューラルネットワークを動かす推論エンジン。現在クローズドベータの登録を受け付けている。
生成AIが画像やテキストの世界を一変させるなか、ゲーム開発の現場では「いつリアルタイム3Dエンジンの中に本格的なAIが組み込まれるのか」という点が注目されていました。
ゲームエンジン大手のUnityは、リアルタイム3D制作向けのAIプラットフォームとして「Unity Muse」と「Unity Sentis」の2つを発表しました。あわせて、Unity Asset Store内に検証済みAIソリューションを揃えた専用マーケットプレイスも開設しています。
両プラットフォームは現在クローズドベータ版として提供されており、年内に一般公開される予定です。
制作ワークフローを縮めるMuse、端末側で動かすSentis
今回の発表は、制作段階の効率化と、ゲーム実行時の体験強化という2つの側面に分かれています。
まず制作側を担うのがUnity Museです。Unity EditorやWeb上から利用できるツール群で、クリエイターの生産性を高めることを目的としています。第一弾として提供される「Muse Chat」では、チャット欄に質問を入力するだけでトラブルシューティングや必要な情報へ素早くアクセスできます。
今後数週間のうちに、テキストプロンプトや手描きのスケッチから3Dアセットやアニメーションを直接生成できる機能も追加される見通しです。
一方のUnity Sentisは、ゲームのランタイム上で動く推論エンジンです。Unityがサポートするあらゆるプラットフォーム上でニューラルネットワークを端末ローカルで実行できる仕組みを提供します。
これまで高度なAIキャラクターや工場のデジタルツインなどを動かす場合、クラウドサーバーとの通信遅延や高い計算コストが壁になっていました。Sentisを使えば端末のリソースを使って直接推論できるため、クラウドコストを気にせずにインタラクティブな体験を構築できます。
さらにUnityは、Asset Store内にサードパーティ製の検証済みプラグインやSDKを集めた専用ストアも立ち上げ、外部のエコシステムも取り込む構えです。
なぜ重要か
生成AIを単なる実験室の技術から、本格的なゲーム制作パイプラインへと落とし込む重要な一歩と言えます。
開発者にとってのメリットは明快です。エディタ内で詰まったときにドキュメントを探し回る時間が減り、手描きスケッチからアセットが生成できるようになれば、試作にかかる時間は大幅に短縮されます。またSentisによってオンデバイス推論が可能になれば、サーバー代を恐れずに賢いNPCを導入できる道が開けます。
業界全体で見ても、Unreal Engineなど競合エンジンとの次世代制作環境をめぐる争いにおいて、Unityが先行して基盤を提示した形です。
アプローチとして賢いのは、クラウド依存を避けてオンデバイス推論を推している点です。これにより開発者の運用コストを大幅に抑えられます。ただ懸念もあります。生成された3Dモデルのポリゴン構造やテクスチャの品質が実用レベルに達していなければ、手作業での修正に余計な時間が取られかねません。試作を素早く回したい開発者はベータ版を試す価値がありますが、商用タイトルの本番ラインに導入するのは生成クオリティの実態を見極めてからになりそうです。
情報源 (2)
- blog.unity.com(新しいタブで開きます)原文blog.unity.com
- investors.unity.com(新しいタブで開きます)報道investors.unity.com