国連調査:女性の仕事がAIの影響を受けるリスクは男性の3倍に
国際労働機関(ILO)とポーランド国立研究所の共同研究により、女性が主に従事する職種が生成AIの影響を受ける確率は男性の3倍に達することが判明した。高所得国では女性の雇用の9.6%が変革に直面し、特に事務や秘書業務が影響を受けやすい。報告書は大半の職種について即座の消滅ではなく業務内容の再編が進むと指摘している。
AIが仕事を奪うという議論では、プログラマーやイラストレーターが話題になりがちです。しかし国連の最新データは、オフィスで最も日常的な業務を支えてきた人たちが、真っ先に変革の波にさらされている現実を突きつけています。
国連の国際労働機関(ILO)とポーランド国立研究所(NASK)が発表した共同調査によると、高所得国において女性が就く職種は、男性の職種に比べて生成AIによる影響を受ける確率がほぼ3倍に達することが明らかになりました。
具体的には、高所得国の女性の雇用の9.6パーセントが大きな変革に直面しているのに対し、男性は3.5パーセントにとどまっています。
なぜ事務職が真っ先に標的になるのか
報告書によると、高所得国全体では約34パーセントの仕事が生成AIの影響を受けると推計されています。ソフトウェア開発や金融関連の業務も早い段階で変化する分野ですが、最も脆弱だと指摘されたのは一般事務や秘書といったバックオフィス業務です。
この偏りは、これまでの労働市場の構造から生じています。米国国勢調査局のデータによれば、2000年から2019年にかけて秘書や一般事務職の約95パーセントを女性が占めていました。また米労働省の統計でも、事務アシスタントは女性にとって5番目に多い職業です。
議事録の要約、日程調整、定型メールの作成といった日常業務は、今の大規模言語モデルが最も得意とする領域です。ただし報告書は、職種そのものが明日なくなるわけではなく、日々の業務の大部分がAIによって代替または根本的に再編される段階にあると強調しています。
本当のリスクは「ツールの不使用」
AIに仕事を奪われない最善策はツールを使いこなすことですが、そこにも見逃せない格差が生じています。
ハーバード・ビジネス・スクールのレンブラント・コーニング教授は、女性は自身の業務を拡張するためにAIを活用できる立場にあるものの、男性社員に比べて新しいAIツールを自発的に試す割合が低い傾向にあると指摘しています。
業務の自動化リスクが高い領域にいながら、ツールの習得で後れを取ってしまうと、キャリアの防衛線は一気に崩れかねません。
なぜ重要か
事務やサポート業務に携わる個人にとって、この報告書は今すぐ動くべきサインと言えます。会社の指示を待つのではなく、定型文の作成やデータ整理にChatGPTなどの生成AIを積極的に組み込んでみる価値があります。自ら使いこなす側に回らなければ、効率化の対象として扱われるリスクが高まります。
企業にとっても、事務職をコスト削減の対象として安易に切り捨てるのは得策ではありません。日程調整や関係各所との連絡には、AI単体では埋められない人間関係の文脈が多く含まれているからです。既存の事務スタッフにAI教育を施し、より付加価値の高い調整業務へシフトさせる企業の方が、組織全体の生産性を高められると考えられます。
技術そのものに偏見はなくても、既存の雇用構造の偏りによって影響の出方は大きく変わります。自動化の波が最も激しい場所にいる人ほど、テクノロジーを味方につけるための支援が必要です。
情報源 (1)
- allsides.com(新しいタブで開きます)原文allsides.com