Thinking MachinesがInkling 2 Small発表:594B構成で来週オープンソース化
Thinking Machinesは第2世代モデル「Inkling 2 Small」を発表した。総パラメータ594Bのうち17BのみがアクティブになるMoE構造で、自律コーディングや視覚フィードバックによるUI修正に長けている。現在はTinker Playgroundで試用でき、安全性評価を経て来週Apache 2.0で重みが公開される。

オープンソースのコード生成モデルは、単発の補完こそ得意ですが、複数ステップにわたる自律エージェントとして動かすと途端に迷走しがちです。
Thinking Machinesは11月5日、その課題に挑む第2世代モデル「Inkling 2 Small」を発表しました。総パラメータ数594Bのうち推論時に稼働するのは17Bのみという、疎なMoEアーキテクチャを採用しています。
Artificial Analysis Intelligence Indexでは前世代を大きく引き離すスコア31を記録しました。現在は外部安全評価のためTinker Playground上で限定提供されていますが、来週にはApache 2.0ライセンスで重みが完全公開される予定です。
視覚フィードバックでコードを自律修正
Inkling 2 Smallの大きな強みは、長時間の自律タスクに視覚認識を直接組み込んでいる点にあります。
292Mパラメータのビジョンエンコーダを備え、画像パッチとテキストを交互に処理します。これによりWebサイトやゲーム、3Dモデルを制作する際、出力されたレンダリング画像をAI自身が見て確認できます。
デザイン崩れや挙動の不具合を自分の「目」で把握し、試行錯誤しながらコードを直していきます。社内で行われたブラインドワイン鑑定テストでは、写真1枚から銘柄を当てる検証で20回中19回正解し、人間の研究者を上回る視覚精度を見せました。
コーディング学習では数十万件の長手順タスクに対し強化学習を実施しました。単にテストコードが通ったかだけでなく、問題へのアプローチ方法自体を採点するエージェント型RL評価器を導入しています。
事前にFledge-Alphaの名で実証テストを重ねており、指示への追従性が高く、言われなくても自分の変更箇所を自動検証する挙動が身についています。
426ドルで別のAIモデルを追加学習
通常のアプリ開発だけでなく、自律的な研究やGPUカーネルの最適化でも高い性能を発揮します。
公開されたデモでは、Tinker上でQwen3.5-4Bを追加学習させ、天気やWikipedia閲覧数の時系列予測モデルに仕立てるタスクをInkling 2 Small単独に任せました。
AIは自ら課題を分析して評価スクリプトを書き、データセットと学習レシピを工夫しながら、エラーが出れば自動でデバッグを進めました。4.5時間と426ドルの計算費用をかけ、最終的に予測スコアを2倍以上に伸ばしてみせました。
GPUカーネル最適化の難関ベンチマークPMPP-Hardでも、69問中64問で正解を出し、閉源の最先端モデルに迫るスコアを記録しています。
なぜ重要か
自律型プログラミングエージェントを自社インフラで動かしたいエンジニアにとって、来週の重み公開は見逃せない動きです。
従来のコードモデルは画面の見た目を確認できず、デザインやレイアウトの修正で手戻りが頻発していました。Inkling 2 Smallが画面の視覚結果をループに取り込んで自律修正できるようになった点は、Web制作の実用性を一段引き上げます。
さらに、この規模のMoEがApache 2.0で手に入ることは、高額なプロプライエタリAPIに頼ってきた業界の流れを揺さぶるはずです。アクティブ17Bにより、トークン生成速度や処理コストの効率も高水準に保たれています。
ただし、実運用にはハードルもあります。推論時の計算量が17B相当とはいえ、594B分のモデル全体をメモリ上に保持する必要があるため、動かすには大容量のGPU環境が必須です。
また、4.5時間で426ドルの算力費を自律的に使い切った事例が示すように、エージェントを自由に走らせる際はコスト上限を厳密に設定しておく運用設計が欠かせないと見ています。
情報源 (1)
- thinkingmachines.ai(新しいタブで開きます)原文thinkingmachines.ai