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業界動向

世界最大のコールセンターがAI導入:インド人従業員の訛りをリアルタイム除去へ

公開 拡散指数 43

Bloombergによると、世界最大手の仏コールセンター代行Teleperformanceは、Sanas AIの技術を使ってインド人スタッフの訛りをリアルタイムで中和する仕組みを導入した。通話時間短縮や顧客満足度向上を狙うが、最大1億400万ドルのAI投資計画を発表した直後に同社株は11%急落した。

世界最大のコールセンターがAI導入:インド人従業員の訛りをリアルタイム除去へ
画像:futurism.com

海外のカスタマーサポートに電話をかけた際、現地の強い訛りで聞き取りに苦労した経験を持つ人は少なくないはずです。世界最大手のアウトソーシング企業が、その課題をAIで強引に解決しようとしています。

フランス・パリに拠点を置き、AppleやSamsung、TikTokなどの窓口業務を請け負うTeleperformanceが、インド人スタッフの英語のアクセントをリアルタイムで中和するAIツールの導入を発表しました。

同社は今年、音声理解プラットフォームを手がけるSanas AIに1300万ドルを出資し、この技術の独占権を獲得しました。機械学習を用いて、海外オペレーターの訛りをネイティブスピーカーにとって聞き取りやすい発音へとリアルタイムに変換する仕組みです。

遅延ゼロでインド訛りを消去

ブルームバーグの取材に応じた同社副最高経営責任者のThomas Mackenbrock氏によると、このシステムは遅延ゼロで機能します。

同氏は、インド人オペレーターの声が聞き取りにくい場合があることを認め、発音を調整することで親近感が生まれ、顧客満足度の向上や通話時間の短縮につながると主張しました。さらに、これを双方にとって有益なWin-Winの施策だと説明しています。

映画界でも、2024年のアカデミー賞ノミネート作『The Brutalist』で同様のAI音声調整技術が使われて話題になりましたが、それが実際のコールセンター業務へ本格的に持ち込まれた格好です。

投資家は巨額のAI投資に冷や水

しかし、株式市場の受け止めは極めて冷ややかでした。

同社が決算説明会で最大1億400万ドルをAI関連技術に投資すると表明した直後、株価は11%も急落しました。2024年の連結売上高は110億ドルと巨額だったにもかかわらずです。

JPモルガンのアナリストであるSylvia Barker氏は、期待された相乗効果を考慮しても市場の予想に届かなかったと指摘しています。巨額の支出への懸念に加え、従業員のアクセントをAIで消去するという手法に対する社会的な反発を警戒した動きとみられます。

なぜ重要か

私たちが考えるに、今回の動きは人件費削減とAI自動化の狭間で揺れるコールセンター業界の苦肉の策です。

英語圏の利用者にとっては、サポート窓口との意思疎通がスムーズになる実用的なメリットがあるかもしれません。しかし、生身の人間の声をリアルタイムで書き換えて応答させるアプローチは、顧客に不誠実な印象を与えるリスクと隣り合わせです。

業界全体を見渡せば、今や高度な音声対話AIエージェントが人間の一次対応を丸ごと代替し始めています。そうした中で、安価な海外の生身オペレーターを維持しつつ、その上に高価なAIフィルターを被せるハイブリッド手法は、過渡期の延命措置に過ぎないように見えます。

多額の開発・ライセンス費用を投じてまで人間の声を矯正するくらいなら、企業はいずれ完全にAIエージェントへ移行する道を選ぶはずです。11%という株価の急落は、この中途半端な投資に対する市場の冷徹な評価を物語っています。

情報源 (1)

  1. [1]
    futurism.com(新しいタブで開きます)原文futurism.com

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