本文へスキップ
IFAI

業界動向

Stability AIのCEOが警鐘、インドの外注プログラマーは2年で大半が職を失う

公開 拡散指数 35

Stability AIのイーマッド・モスタークCEOは、AIによる開発効率化を受け、インドの外注プログラマーの大半が今後1〜2年で職を失うと予測した。画面越しで顧客と対面しない業務ほど打撃が大きく、今後はAIコパイロットと協調する新たな役割が求められると語った。

Stability AIのCEOが警鐘、インドの外注プログラマーは2年で大半が職を失う
画像:cnbc.com

シリコンバレーやウォール街の巨大企業を裏側で支えてきた巨大なオフショア開発の仕組みが、急激な変革期を迎えています。

画像生成AIを手がけるStability AIの最高経営責任者であるエマード・モスターク氏は、スイスの投資銀行UBSのアナリスト向け電話会議で極めて強気な見通しを示しました。同氏によると、AIの急速な進化によってソフトウェア開発に必要な人員が激減するため、インドのアウトソーシング・プログラマーの大半が今後1年から2年以内に職を失う可能性があるといいます。

画面の向こう側の仕事から置き換わる

モスターク氏の論理は明快です。コンピューターの画面の前に座り、誰とも対面で顔を合わせないまま完結する職種ほど、生成AIによる打撃を真っ先に受けます。同氏は現在の高度なモデルを「極めて優秀な新卒生」に例えています。

同氏の分析では、インドではレベル3程度までの外包プログラマーが1〜2年のうちに姿を消す一方、労働法規制が非常に厳しいフランスのような国では簡単にエンジニアを解雇できないため、影響の現れ方は国や法制度によって大きく異なると指摘しました。

ブルームバーグの報告によると、インドには500万人以上のソフトウェアプログラマーが存在し、シリコンバレーのハイテク企業から大手銀行、航空会社、小売業者まで、世界中のバックオフィス業務や開発案件を請け負っています。それだけに、ChatGPTなどの高度なAIツールがもたらす影響は甚大です。

危機感強めるインド大手、数万人規模のリスキリングへ

こうした急激な変化に対し、受託開発大手の側も手をこまねいているわけではありません。

インド最大手のアウトソーシング企業であるタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)は、マイクロソフトのAzure OpenAIサービスを活用し、2万5000人以上のエンジニアに生成AI技術の研修を実施すると表明しています。

TCSの幹部であるN・ガナパシー・スブラマニアム氏はCNBCの取材に対し、同社は約4年前から機械優先のアプローチを取り入れており、生成AIはその進化を数年前倒ししたにすぎないと述べました。

モスターク氏は以前「5年後にはプログラマーがいなくなる」と発言したことについても触れ、それはあくまで従来型のコード書きを指していると補足しました。すべてが自動化されるのではなく、人間がAIの「コパイロット」とともに作業する形態へとシフトするため、単純なコーディングに割く人員は減るものの、別の役割へ移行できるかが今後の焦点になると語っています。

なぜ重要か

モスターク氏の発言にはスタートアップ創業者特有の大げさな表現が含まれているとはいえ、指摘されている課題そのものは業界の急所を突いています。

開発者個人にとって、要件定義書に沿って定型的なコードを書いたり、単体テストを繰り返したりするだけの業務価値は急速に薄れています。そうした作業はAIが最も得意とする領域だからです。今エンジニアに求められているのは、プログラミング言語の構文を暗記することではなく、AIツールを使いこなして従来の数人分の成果を一人で出せる生産性を身につけることです。

ITサービス産業全体にとっても、長年続いてきた「人月ビジネス」が根本から揺らぐ可能性があります。これまでの受託開発は、投入するエンジニアの頭数と作業時間に応じて請求するモデルが主流でした。しかし、AIの導入によって少人数で開発が完了するようになれば、海外へ大量の外注を出す動機そのものが薄れます。TCSの大規模な社内研修は、まさにこのビジネスモデル崩壊への防衛策と言えます。

レガシーシステムの維持やセキュリティ要件の都合上、1〜2年で外注プログラマーが完全に消え去るとは考えにくいものの、下請け型の単純コーディング需要が急速に縮小していく流れは避けられない情勢です。

情報源 (1)

  1. [1]
    cnbc.com(新しいタブで開きます)原文cnbc.com

毎日のAIピックアップ