Spotify、自然言語で推薦を直接調整できる「Taste Profile」ベータ版を米で提供
Spotify は米国の 18 歳以上 Premium ユーザー向けに「Taste Profile」ベータ版の提供を開始した。自身の聴取傾向の分析を確認できるほか、文章で聴きたいジャンルや除外したい内容をメモとして送ることで、数時間以内にホーム画面の推薦傾向を直接微調整できる。

就寝用に環境音を流しっぱなしにしたり、同乗者に音楽を流させたりした翌朝、おすすめフィードがまるで別人のアカウントのように崩壊していた経験はないでしょうか。
Spotifyは9月23日、米国在住の18歳以上の有料プレミアム会員向けに、新機能「Taste Profile(ベータ版)」の提供を開始しました。3月にオースティンで開催されたSXSWで共同CEOのGustav Söderström氏が発表し、ニュージーランドで先行テストを実施していたもので、同社最大のトラフィックと収益を誇る米国市場へと展開を広げました。
推薦の基準を「文字」で見せ、直接修正させる
Discover WeeklyやSpotify Wrappedの基盤となる推薦アルゴリズムは、これまで完全にブラックボックスでした。過去の再生履歴から機械的に好みを推定するため、すでに聴いた曲と似通った楽曲ばかりが並び、新しいジャンルへ踏み出しにくくなる課題がありました。
Taste Profileを開くと、Spotifyがユーザーの音楽、ポッドキャスト、オーディオブックの好みをどう解釈しているかが要約文として表示されます。さらに「Tell us more」の欄から自然言語のテキストを入力することで、推薦の方向性を直接指示できます。
90年代のオルタナティブロックを試したい、朝に合うアップテンポな曲が欲しい、あるいは特定のジャンルを減らしたいといった要望を書き込むと、数時間以内にホーム画面の提案内容へと反映されます。入力したテキストはいつでも編集や削除が可能です。
対処療法から能動的なコントロールへ
同社はこれまでにも、特定プレイリストを対象外にする機能や、子どもの曲が親のレコメンドを侵食しないようにする切り替え設定などを提供してきました。今回の機能はそうした個別除外にとどまらず、プロンプトによって能動的に好みの枠組みを再定義できる点が異なります。
なお、現時点では米国とニュージーランドの成人プレミアム会員に限定されたベータ版であり、他地域への展開時期は公表されていません。
なぜ重要か
推薦アルゴリズムは往々にして過去の行動履歴に縛られ、現在のユーザーの気分や意図を読み取れません。これまで狂ったアルゴリズムを軌道修正するには、不要な曲をスキップし続けたり新しい曲を地道にライブラリへ登録したりと、相応の手間が必要でした。日常的に複数の用途でアプリを使っている人にとって、文章ひとつで方向転換できるメリットは小さくありません。
推薦エンジン自体を一新するのではなく、従来の協調フィルタリングの上に自然言語による微調整の層を乗せたアプローチは、非常に現実的で賢明だと私たちは考えます。機械的な自動化を維持しながら、ユーザーに納得感のある手動の介入権を与えています。
Apple Musicなど競合各社も、ブラックボックス化されたおすすめ機能にユーザー自身が手を入れる手段を模索せざるを得なくなるはずです。懸念されるのは、テキスト指示の反映に数時間のタイムラグがある点です。その時々の気分の変化にリアルタイムで追従できるわけではないため、指示の意図と反映結果にズレが生じた場合の扱いが今後の課題になりそうです。
情報源 (2)
- newsroom.spotify.com(新しいタブで開きます)原文newsroom.spotify.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com