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業界動向

ChatGPTのデタラメが発端、楽譜サービスが新機能を本当に開発

公開 拡散指数 42

楽譜プラットフォームのSoundsliceはASCII形式のギタータブ譜の取り込み機能を実装したと明かした。ChatGPTが存在しない当該機能をあたかも対応済みのようにユーザーに案内していたためで、AIのハルシネーションをきっかけに公式実装された珍しい事例となった。

ChatGPTのデタラメが発端、楽譜サービスが新機能を本当に開発
画像:arstechnica.com

ある日突然、自社のエラーログが謎のファイルで埋め尽くされ、原因を調べたら「ChatGPTが勝手に存在しない機能をユーザーに案内していた」と分かったらどうするだろうか。

楽譜プラットフォームのSoundsliceを共同創業したAdrian Holovaty氏は、数カ月前にまさにこの奇妙なトラブルに直面した。ユーザーが楽譜の写真やPDFではなく、ChatGPTの画面スクリーンショットばかりをアップロードして失敗していたのだ。そこにはASCII文字で描かれたギターのTAB譜が写っていた。

ChatGPTが吐いた嘘に数週間頭を抱える

Soundsliceは通常、紙の楽譜やPDFを取り込んで電子化し、実際の演奏音源や動画と同期させてスクロール表示する練習支援ツールだ。再生速度を落としたり、苦手なフレーズを反復練習したりできる。

しかし、数字とハイフンだけで弦とフレットを表現するASCII TAB譜は、昔からネット上で流通しているものの、Soundsliceの読み取りシステムは一切対応していなかった。

「なぜこんなものが大量に送られてくるのか」と頭を抱えたHolovaty氏が自らChatGPTを試したところ、原因は一目瞭然だった。ChatGPTはユーザーに対し、Soundsliceのアカウントを作ってテキストのTAB譜をインポートすれば音源として再生できると、堂々と嘘の案内をしていたのだ。

AIがもっともらしくデタラメを語る現象は「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる。2022年11月にChatGPTが登場し、検索エンジンの代わりに使う人が増えて以来、業界全体が頭を悩ませ続けている問題だ。

嘘から出た真、正式機能として開発

普通ならサポートページで注意喚起するか、AIの開発元にクレームを入れるところだろう。だがSoundsliceのアプローチは違った。AIが勝手に約束してしまったのなら、いっそ本当に作ってしまおうと決めたのだ。

Soundsliceは月曜日、ASCII TAB譜のインポート機能を正式にリリースしたと発表した。生成AIのハルシネーションに企業が直接応える形で新機能を実装した事例は、おそらく世界で初めてだとみられている。

これで、ChatGPTに騙されてやってきたギタリストたちも、ネット上で拾ったテキストのTAB譜を貼り付けるだけで、本当にインタラクティブな演奏練習ができるようになった。

なぜ重要か

ギタリストや音楽学習者にとって、これは棚からぼたもちのようなアップデートだ。インターネット上に膨大に眠る古いテキスト形式のTAB譜が、最新のインタラクティブな楽譜ツールとして蘇るため、今すぐ試す価値が十分にある。

業界全体にとって興味深いのは、AIのハルシネーションが図らずも「隠れたユーザー需要の検出器」として機能した点だ。ChatGPTが存在しない機能をでっち上げた背景には、それだけ多くのユーザーが「テキスト譜を読み込んで音を鳴らしたい」とAIに相談していた現実がある。

Soundsliceの対応は極めてスマートだったと言える。AIの嘘を放置してサービスへの失望や悪評につながるリスクを、逆手にとって話題性と新規ユーザー獲得のチャンスに変えてみせた。

ただし、この手法を誰もが真似できるわけではない。AIが吐き出すハルシネーションには、技術的に不可能だったり膨大な開発費がかかったりするものも多い。今回は手頃な規模感だったからこそ「嘘から出た真」で済んだが、今後多くの企業がAIのついた嘘に振り回されるリスクはむしろ高まっているように見える。

情報源 (1)

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    arstechnica.com(新しいタブで開きます)原文arstechnica.com

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