動画生成AI「Sora」、アプリとAPIの提供終了を発表
Soraチームは動画生成プラットフォーム「Sora」のアプリおよびAPIサービスの提供を終了すると発表した。チームは利用者へ感謝の意を伝え、終了までの具体的なタイムラインや作成済み作品の保存方法などについて近日中に案内するとしている。

かつて世界中に衝撃を与えた動画生成 AI が、突如として幕を下ろすことになりました。
現地時間の火曜日、Sora の公式 X アカウントは、Sora アプリおよび API の提供を終了すると発表しました。投稿ではこれまで利用してきたクリエイターコミュニティへの感謝を述べつつ、提供終了までのスケジュールや過去の生成作品を保存する手順について、追って詳細を案内すると説明しています。
登場からわずか数カ月、10 億ドル規模の契約も白紙に
今回終了するのはアプリ版だけではありません。開発者向けの API も含め、Sora に関連するプロダクト全体が整理される見通しです。
「Sora 2」としても知られる専用アプリ版は、SNS 向けのショート動画などを手軽に作成できるツールとして 2025 年 9 月に一般公開されたばかりでした。プロダクトとして本格稼働してから、わずか数カ月での幕引きとなります。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、OpenAI はテキスト動画生成モデルを採用したすべての製品を段階的に縮小し、ChatGPT に動画生成機能を追加する計画もないとしています。つまり、別サービスへの統合という形での延命すら行われない方針です。
さらに、米ヤフー・ファイナンスがロイターの報道として伝えたところによると、この決定によってディズニーとの間で進められていた 10 億ドル規模の提携交渉も破談になった模様です。ディズニーの人気キャラクターを動画内で利用できるようにする計画でしたが、関係者は OpenAI の急な方針転換を「梯子を外された(rug-pull)」と表現し、大きな衝撃を受けていると報じられています。
スーパーアプリ構想と計算資源の現実
今回の撤退の背景にあるのは、OpenAI の事業再編と、動画生成に伴う極めて重いコスト負担です。
報道によると、同社は現在「スーパーアプリ」化を目指す構造改革を進めており、巨額の計算リソースを消費するテキスト動画生成から距離を置き、ロボティクス、コーディング支援、エンタープライズ向け事業へとリソースを集中させています。SNS 上では低品質な動画(slop)が量産され、ディープフェイクを巡る懸念も根強かった中、収益化の目処が立たないまま膨大なサーバー代を払い続けることは困難だったと見られます。
SNS 上でも衝撃が広がっており、「AI バブルの崩壊が始まった」と指摘する声や、今回の発表を「大地震の前に起きた震度 3 の揺れ」に例える投稿が見られました。あるシンプルな「不吉な兆候だ」という投稿は、230 万回以上閲覧されるなど、業界内外に動揺を与えています。
なぜ重要か
現在 Sora やその API を使ってコンテンツ制作やツール開発を行っているユーザーは、直ちに代替サービスの選定とデータのバックアップを進める必要があります。プラットフォーム側の都合でツールそのものが消滅するリスクを、痛烈に示す事例となりました。
業界全体から見れば、私たちはこの決断を「派手なデモから、実利を重視するフェーズへの決定的な転換」だと捉えています。動画生成は見た目のインパクトこそ絶大ですが、消費する計算リソースに対してユーザーから得られる対価が小さすぎました。OpenAI がディズニーとの大型契約を捨ててまで即座に損切りを選んだ動きは冷酷ですが、利益率の高いコーディングや業務支援へ舵を切る判断自体は極めて合理的と言えます。
一方で、動画生成専業のスタートアップにとっては厳しい冬の時代の到来を予感させます。トップランナーである OpenAI すら事業として成立させられなかった領域で、競合各社がどうやって持続可能なビジネスモデルを証明するのか、極めて重い問いが突きつけられています。
情報源 (3)
- x.com(新しいタブで開きます)原文x.com
- finance.yahoo.com(新しいタブで開きます)報道finance.yahoo.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com