Sony Music、AI音楽のUdioを提訴 3万曲超の無断学習で1曲最大15万ドル請求
Sony MusicはAI音楽生成サービスUdioがYouTubeから3万曲以上の音源を無断で抽出しモデル学習に利用したとして、著作権侵害の新たな訴訟を提起した。同社は生成AI楽曲が市場に溢れ原曲の価値を損なうと主張し、1作品あたり最大15万ドルの損害賠償を求めている。旧訴訟への追加請求が裁判官に却下されたことを受けた動きだ。

証拠を掴んだ以上、見逃す気はないようです。
Sony Music Entertainment は傘下の Arista Records など 9 つのレーベルとともに、AI 音楽生成プラットフォーム Udio を相手取り、著作権侵害の新たな訴訟をニューヨーク南区連邦地方裁判所に起こしました。提訴日は 7 月 20 日です。訴状では、自社の音源 30,117 件が無断でモデル学習に流用されたと主張されています。
対象となった楽曲には、Beyoncé、Michael Jackson、Elvis Presley、Harry Styles、Mariah Carey、Alicia Keys、Dolly Parton などの代表作が含まれています。ソニーは侵害 1 作品につき法定上限となる最大 15 万ドルの損害賠償を求めており、計算上は総額 45 億ドル規模に達します。
発覚のきっかけは前回の裁判
今回の提訴はソニーと Udio による法廷闘争の第 2 ラウンドです。ソニーは 2024 年 6 月、Universal Music Group(UMG)や Warner Music Group(WMG)とともに Udio と競合 Suno を最初に提訴していました。
この先行訴訟の証拠開示手続きを通じて、ソニーは Udio のソースコードや学習データセットへのアクセス権を獲得しました。フォレンジック調査を実施したところ、当初の想定をはるかに上回る楽曲が学習に使われていたことが判明しました。
ソニー側は当初、見つかった 3 万件超の楽曲を 2024 年の係争に統合しようと試みました。しかし、Alvin K. Hellerstein 連邦地裁判事が 6 月 29 日にその申請を却下したため、ソニーは 7 月 20 日に別件として新たな訴訟を起こす道を選びました。
さらに訴状では、Udio が YouTube から音源を収集する際、保護を回避して音声を直接抜き出すツール「YT-DLP」を使用していたと名指しで告発されています。
孤立するソニーと切り崩される防衛線
今回の訴訟で注目すべきは、レコード大手各社のスタンスの違いです。
当初は共闘していた Universal と Warner はすでに Udio と和解し、ライセンス契約を結びました。アーティストが参加を選択できる枠組みを作り、Udio はそれらの正規許諾を受けた新モデルを年内に公開する準備を進めています。
Udio はこれまで、AI が音源を聴いて学ぶプロセスは人間の学習と同じであり、米国著作権法上の「フェアユース(公正利用)」に該当すると反論してきました。
しかしソニーは、Udio が他社とライセンス契約を結んだ事実そのものが「権利者の許諾が必要だと自ら認めている証拠」だと指摘し、フェアユースの主張を真っ向から崩しにかかっています。
なぜ重要か
生成 AI の開発元にとって、この訴訟は極めて重い現実を突きつけています。
「バックエンドでの学習処理なら外からは見えない」という逃げ道は、訴訟の証拠開示手続きに入った瞬間に通用しなくなります。特に YT-DLP を用いたストリームリッピング疑惑のように、収集手法の具体名まで暴かれた場合、裁判所でフェアユースを主張し続けるのはかなり難しくなると私たちは見ています。
また、エンタメ業界の対応が「提携して取り込む派」と「法的に徹底抗戦する派」に二分された点も興味深いところです。Universal や Warner が AI 企業を取り込んで新たな収益源化を図る一方で、ソニーは権利侵害を徹底的に追及する姿勢を崩していません。
1 曲あたり 15 万ドルという請求は、スタートアップ 1 社を容易に消し飛ばす規模の圧力です。学習データの出所を曖昧にしたままサービスをスケールさせる時代は、完全に終わりを迎えつつあります。
情報源 (4)
- musicbusinessworldwide.com(新しいタブで開きます)原文musicbusinessworldwide.com
- attackofthefanboy.com(新しいタブで開きます)報道attackofthefanboy.com
- variety.com(新しいタブで開きます)報道variety.com
- latimes.com(新しいタブで開きます)報道latimes.com