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ソニーAIの卓球ロボ「Ace」が英Nature表紙に プロ選手を公式ルールで撃破

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ソニーAIはプロ卓球選手に勝利した自律ロボット「Ace」の成果を英科学誌Natureの表紙論文として発表した。12基の高速センサーにより10.2ミリ秒の低遅延知覚を実現し、物理シミュレーションでの強化学習のみで回転の読みと精密打球を両立。ミリ秒単位の判断が求められる実世界タスクでAIがプロを凌駕した。

ソニーAIの卓球ロボ「Ace」が英Nature表紙に プロ選手を公式ルールで撃破
画像:therundown.ai

卓球は、ロボット工学において40年以上にわたり解けなかった「最難関のパズル」でした。時速70キロ以上、秒速20メートルを超えるスピードで飛び交う直径40ミリのピンポン球は、毎秒160回転以上で激しくスピンし、プレイヤーにはコンマ数秒の判断しか許されません。

ソニーAIは4月23日、英科学誌Natureの表紙を飾る最新研究として、自律型卓球ロボット「Ace」を発表しました。国際卓球連盟(ITTF)の公式ルールに準拠したフルサイズのコートで、Aceはエリート選手相手に勝利を重ね、史上初めて人間のプロ卓球選手から勝利を収めました。

12基のセンサーで捉える10.2ミリ秒の低遅延知覚

人間のプロ選手は、相手の構えやラケットの角度といった微細な予備動作から球筋や回転を読み取ります。一方、Aceは空中の物理現象そのものをリアルタイムで解析します。

Aceには合計12基の高速センサーからなるハイブリッド視覚システムが搭載されています。空間内の正確な3次元位置を測距するために9台のソニー製Pregius IMX273(200Hz)を配置し、さらにソニーとPropheseeが共同開発したイベントベースビジョンセンサー(EVS)IMX636を3台採用しました。

このEVSは輝度変化のみをサブミリ秒の精度で捉えるため、飛行中のピンポン球のロゴを追跡し、毎分9000回転を超える超高速スピンの回転軸まで正確に計測します。知覚遅延はわずか10.2ミリ秒。視覚から打球動作までのエンドツーエンドの反応時間は約20ミリ秒と、人間の約10倍の速さを誇ります。

シミュレーションで3000時間学習、8関節アームが放つ時速70キロの返球

運動制御の頭脳には、ソニーAIがレーシングAI「GT Sophy」で培った深層強化学習(RL)技術が応用されています。人間の動作実演データに頼ることなく、高精度な物理シミュレーション空間内で自分自身と約3000時間に及ぶ対戦を重ね、現実世界の8関節ロボットアームへと直接スキルを移行(Sim2Real)させました。

ハードウェアには直動2関節と回転6関節が備わり、ラケットの根元には球を保持して自律サーブを行うカップも装備されています。制御ループは1kHzという驚異的な超高頻度で実行され、スイングの途中でもボールの軌道変化に合わせて即座に軌道修正が可能です。これにより、最高秒速19.6メートルに達する鋭い返球を実現しました。

対戦したプロ選手らは、Aceには感情や表情のブレがなく、意図を推測させる「癖」が存在しないため、人間同士の対戦よりもはるかに読みづらいと評しています。

なぜ重要か

私たちは、Aceの成功は単に「ピンポンが上手いロボット」が完成したことにとどまらず、フィジカルAI(身体性を持つAI)の歴史的な転換点だと考えています。

一般家庭や卓球クラブが、天井に多数の高速カメラを張り巡らせた産業用アームを導入するのは現実的ではありません。しかしトップアスリートの育成現場にとっては、ボールの回転量や軌道をミリ単位で完全に数値化し、一切のミスなく超人的な球を打ち分けられる究極のスパーリングパートナーになり得ます。

ロボット産業全体に対するインパクトも絶大です。現在注目されるヒューマノイドの多くは、荷物の運搬や軽作業など、ミリ秒単位の遅れが破綻に直結しない低速な環境を前提としています。対照的に、Aceはイベントカメラと物理シミュレーション学習を組み合わせることで、極限のリアルタイム物理タスクでもSim2Realが完全に通用することを実証しました。

もちろん、入念に調整された照明環境やコート固定の大型センサー設備が必要というハードルは残ります。それでも、知覚から運動に至るこの超高速ループの設計思想は、ドローンの空中迎撃や高速産業ピッキング、自動運転の緊急衝突回避など、あらゆる実世界AIの基盤技術へと波及していくはずです。

情報源 (1)

  1. [1]
    ace.ai.sony(新しいタブで開きます)原文ace.ai.sony

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