クアルコム「Snapdragon 8 Gen 3」の全スペックが流出、生成AIに特化
MSPoweruserがクアルコムの次期フラッグシップSoC「Snapdragon 8 Gen 3」の内部仕様書を公開した。生成AIに特化設計された初のモバイル向け基盤とされ、INT4精度対応のHexagon NPUやUE5.2光線トラッキングを備える。次期AndroidスマホでのオンデバイスAI普及を左右する重要チップとなりそうだ。
スマートフォンの発表会では毎年のように処理性能の向上がアピールされますが、いま業界関係者が本当に気にしているのは、生成AIがスマートフォンの端末上でまともに動くのかという点です。
その答えが早くも明らかになりつつあります。海外メディアの MSPoweruser が入手したクアルコムの内部流出資料により、次期フラッグシップ SoC である Snapdragon 8 Gen 3 の詳細スペックが明らかになりました。資料の中でクアルコムは、本製品を生成AI向けに特化して設計された初のモバイルプラットフォームと位置づけています。
噂では、来年 2 月に登場が見込まれる Samsung Galaxy S24 シリーズへの搭載が取り沙汰されており、その中身はオンデバイス AI を強く意識した設計になっています。
INT4 精度に対応、CPU は 1+5+2 構成へ
バッテリー容量や発熱に厳しいスマートフォンで生成AIを動かすため、クアルコムは Hexagon NPU を大幅に強化しました。
流出したスペックシートによると、新しい AI エンジンは INT4、INT8、INT16、FP16 を含む全精度をカバーしています。特に低ビットな INT4 をサポートしたことで、メモリ帯域と消費電力を抑えながら端末側で大規模なモデルを処理できる道が開かれます。
さらに Sensing Hub にも音声とセンサー処理用のデュアル micro NPU が搭載され、2 基の常時センシングカメラをサポートしつつ INT4 精度に対応します。
この AI 性能を支えるため、メモリは最大 24GB の LP-DDR5x(最大 4800 MHz)をサポートします。スマートフォンとしては異例の大容量メモリですが、オンデバイスで AI モデルを常駐させるための措置と見られます。
CPU 構成も見直されました。従来のバランスから変更され、3.3 GHz のプライムコア 1 基、3.2 GHz のパフォーマンスコア 5 基、2.3 GHz の高効率コア 2 基という 1+5+2 構成を採用しています。効率コアを削ってでもマルチスレッドの性能を優先させた格好です。
Unreal Engine 5 対応とクロスデバイス連携
AI だけでなく、iPhone 15 シリーズがアピールしたゲームのレイトレーシング機能に対しても真っ向から対抗しています。
Adreno GPU はグローバルイルミネーション対応のハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングを備え、Unreal Engine 5.2 の Lumen システムをサポートします。カットシーンを最大 8K までアップスケーリングできる機能もアピールされています。
通信面では Snapdragon X75 5G モデムと FastConnect 7800 を組み合わせ、Wi-Fi 7 による最大 5.8 Gbps の通信や Bluetooth 5.4 に対応します。
また、流出資料には Snapdragon Seamless と呼ばれる新機能も記載されていました。Apple の AirDrop や Samsung の Galaxy Connect のような独自エコシステムに対し、クアルコム製チップを採用するメーカー同士が共通して利用できるクロスデバイス連携基盤を提供する狙いとみられます。
なぜ重要か
私たちは、クアルコムがオンデバイス AI を単なる機能追加ではなく、アーキテクチャの根本から設計し直した点を高く評価しています。
INT4 精度のサポートや最大 24GB メモリへの対応は、クラウドを介さずに端末内で大規模言語モデルを動かすための土台です。一般ユーザーにとっては、通信環境のない場所でもプライベートに動作する AI アシスタントや、待ち時間のない画像生成機能が現実的なものになってきます。
業界全体で見れば、ハードウェアレイトレーシングや Unreal Engine 5 への対応も含め、Android 陣営が Apple に対抗するための武器を一気に揃えた形です。特に Snapdragon Seamless が普及すれば、独自エコシステムを持たない中小メーカーでも他社デバイスとシームレスにつながる体験を提供できるようになります。
懸念されるのは発熱と消費電力です。高効率コアをわずか 2 基に減らし、高性能コアを 5 基に増やした構成は、ピーク性能が高い一方で排熱処理のハードルを大きく引き上げます。実機でサーマルスロットリングを起こさずに性能を維持できるかどうか、購入を検討するなら各社の実機ベンチマークと発熱のレビューを待つのが賢明です。
情報源 (1)
- mspoweruser.com(新しいタブで開きます)原文mspoweruser.com
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